辻原幸雄

辻原幸雄

鹿児島県出身の元プロ野球選手、辻原幸雄（つじはら さちお）氏は、1949年6月5日にこの世に生を受けた。現役時代は技巧派のアンダースロー投手として知られ、プロ野球界で異彩を放った人物である。

氏の野球人生は、地元の川内高校で本格的に花開く。高校時代はチームのエースとしてマウンドに立ち、1967年の夏の甲子園県予選では、チームを決勝の舞台へと導いた。しかし、惜しくも鹿児島高校に敗れ、甲子園出場は叶わなかった。この時の鹿児島高校には、後にプロ入りする好投手、中原勇氏がいた。

高校卒業後、辻原氏はプロの世界への扉を開く。1967年のドラフト会議において、西鉄ライオンズから5位指名を受け、入団に至った。プロ入り当初の背番号は71番であった。アンダースローという特異な投法でプロの世界に挑み、その独特なフォームは打者にとって攻略が難しいとされた。プロ入りから数年を経て、1969年10月2日に行われたロッテオリオンズとの試合で、待望のプロ初登板を果たした。

西鉄ライオンズでのキャリアを積んだ後、辻原氏は新たなチームへと移籍することになる。1970年11月、日本のプロ野球界で初めて開催された選抜会議、いわゆるトレード会議において、南海ホークスの選手として指名され、移籍が決定した。南海ホークスでの背番号は40番に変更となった。

南海ホークス移籍後も、アンダースロー投手としてチームに貢献した。この南海時代には、水島新司氏による人気野球漫画「あぶさん」に登場したことでも記憶されている。主人公である景浦安武選手は、当初アンダースロー投手を苦手としていたため、辻原氏はその克服に向けた練習相手として漫画に描かれた。物語の中で、主人公の弱点克服に重要な役割を果たすキャラクターとして登場し、多くの漫画読者にその名を知らしめたのである。

プロ野球選手として活躍した辻原氏は、1974年をもって現役生活に区切りをつけ、引退を決意した。およそ7年間のプロキャリアを通じて、特徴的なアンダースローを武器にマウンドに立ち続けた。

現役引退後、辻原氏は故郷である鹿児島県に戻り、新たな人生を歩み始めた。現在は、地元でスポーツ用品店を経営しており、地域におけるスポーツ振興の一端を担っている。さらに、少年野球チーム「川内スラッガーズ」の監督も務め、未来の野球選手たちの育成に情熱を注いでいる。長年のプロ経験で培った知識と技術を、次世代の子供たちに伝え、地域社会に貢献している姿は、多くの人に感銘を与えている。プロ野球の世界で培った経験が、故郷での指導者としての活動に活かされていると言えるだろう。

辻原幸雄氏は、プロ野球選手としてだけではなく、漫画の登場人物として、そして引退後の地域貢献者としても、多方面でその存在感を示している人物である。

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