辻裕教

辻裕教（つじ ひろゆき）

プロフィール

辻裕教は、1961年10月4日生まれの日本の検察官、法務官僚です。大阪府出身で、灘高等学校、東京大学法学部を卒業後、検察官としてキャリアをスタートさせました。法務省では大臣官房長や刑事局長、そして法務事務次官といった要職を歴任し、2021年からは仙台高等検察庁の検事長を務めました。2023年には、東京高等検察庁の黒川弘務元検事長の定年延長問題に関連して、大阪地方裁判所での証人尋問を受けることになり、その後辞職しました。

キャリア

辻氏は、1986年に検事に任官して以来、横浜地方検察庁を皮切りに、盛岡、福岡、名古屋などの各地方検察庁で検事を務めました。その後、法務省刑事局に異動し、刑事法制に関する業務に携わりました。2000年代に入ってからは、内閣司法制度改革推進準備室参事官も務めるなど、司法制度改革にも関与しています。法務省では、刑事局参事官、刑事法制管理官、総務課長、大臣官房人事課長などを歴任し、要職を歴任しました。

2013年には、松江地方検察庁の検事正兼広島高等検察庁松江支部長に就任し、その後、法務省大臣官房審議官、大臣官房長、刑事局長を経て、2019年には法務事務次官に就任しました。法務事務次官は、法務省の事務方のトップであり、国の司法行政を統括する重要なポストです。2021年からは、仙台高等検察庁の検事長を務めましたが、2023年に辞職しました。

黒川弘務元検事長定年延長問題

2023年、辻氏は、東京高等検察庁の黒川弘務元検事長の定年延長問題に関連して、大阪地方裁判所から証人尋問を受けることになりました。当時、法務事務次官であった辻氏が、この問題に関してどのような役割を果たしたのかが問われることになりました。現職の検事長が証人尋問を受けることは異例であり、この問題が社会的に大きな関心を集めたことが伺えます。この証人尋問の後、辻氏は検事長を辞職しました。

著書・論文

辻氏は、刑事法制に関する専門家として、多くの著書や論文を発表しています。特に以下の著作は、司法関係者にとって重要な参考資料となっています。

「裁判員法/刑事訴訟法 司法制度改革概説(6)」（商事法務、2005年）ISBN 978-4785712433
「刑事訴訟法等の一部を改正する法律の制定経緯等について」（「警察学論集」69巻8号、立花書房、2016年）
* 「法制審議会、新時代の刑事司法制度特別部会の審議経過について」（「井上正仁先生古希祝賀論文集」、有斐閣、2019年）ISBN 978-4-641-13931-2

これらの著書や論文は、辻氏が刑事法制の専門家として、日本の司法制度の発展に貢献してきたことを示しています。

まとめ

辻裕教氏は、検察官、法務官僚として長年にわたり日本の司法行政に携わった人物です。法務省の要職を歴任し、刑事法制の改正に深く関わってきました。東京高検検事長の定年延長問題で証人尋問を受けるという異例の事態の後、辞職しましたが、そのキャリアは日本の司法制度に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

もう一度検索