迅鯨 (潜水母艦)

迅鯨（じんげい）

迅鯨は、大日本帝国海軍の潜水母艦であり、迅鯨型の最初の艦であります。艦名は古い名称での鯨を由来としており、日本海軍においても特別な立ち位置を持つ艦船です。この艦は、既存の大型艦の機関部を流用し、1923年に水雷母艦として進水、翌年には潜水母艦として再分類されました。姉妹艦の長鯨と共に、日本海軍が初めて持つ本格的な潜水母艦となりました。

構造と建造経緯

迅鯨は三菱長崎造船所で建造されました。当初は水雷母艦として計画されていましたが、ワシントン軍縮条約の影響で計画は変更され、実際には潜水母艦としての役割を担うことになりました。建造するにあたっては、八八艦隊の廃艦から流用された機関部やボイラーが利用されるなど、経済的な理由もありました。

戦歴

昭和時代に入ると、この艦の能力は徐々に陳腐化が進み、1938年以降は新型潜水母艦にその役割を譲ることとなります。しかし1940年には、再び潜水戦隊の旗艦に復帰しました。太平洋戦争が始まると、迅鯨は第七潜水戦隊の旗艦としてトラック泊地に駐留し、主に呂号潜水艦の支援を行いました。

1942年には新編された第八艦隊に編入され、ラバウルに進出しますが、その後は内地に帰投し、訓練艦としての任務に従事しました。1944年には沖縄方面でも輸送任務に参加しますが、同年9月にアメリカの潜水艦の攻撃を受け、大破しました。その後、美国の機動部隊による攻撃を受けて1944年10月に沈没しました。

迅鯨の艦役

艦の運用に際し、迅鯨は多岐にわたる任務に従事しました。特に、戦時中の練習艦や工作艦としての能力が評価されていました。機関部やボイラーの流用により、経済的に建造され、特筆すべきはその運用の柔軟性でした。海上の抗争が激化する中、迅鯨はその役割を果たし続けました。

兵装の変遷

迅鯨は、艦載機を搭載することもありましたが、戦局が厳しくなるにつれ、武装の変更や減少も見受けられました。特に、高角砲や機銃は戦争の進展に応じて増強されましたが、最終的には一部の装備が撤去されるなど、大きくその役割が変わっていったことも歴史的な側面と言えるでしょう。

終焉とその後

最終的には、迅鯨は沈没した後にサルベージされ、1952年には解体されたものの、その歴史は多くの人々の記憶に残り続けています。迅鯨は日本海軍において独自の足跡を残した艦船として、今なお多くの資料や研究の中で語られています。

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