近江小室藩

近江小室藩の歴史

近江小室藩（おうみこむろはん）は、滋賀県長浜市小室町に位置した藩で、その歴史は小堀家に深く根ざしています。この藩の始まりは、藩祖である小堀政一が近江国に移り住んだ慶長9年（1604年）にさかのぼります。政一は著名な武士であり、小堀遠州の名でも知られ、彼の父である小堀正次もまた、戦国時代において浅井長政や豊臣秀吉に仕官していました。

正次は関ヶ原の戦いで東軍に与し、その功績により、備中松山藩を中心に1万4,460石の所領を与えられました。政一が跡を継ぐ際、彼は弟の小堀正行に2,000石を分与しましたが、これは小堀家の領地が次第に細分化される始まりでした。元和5年（1619年）には、政一が備中松山から近江小室に移り住み、正式に近江小室藩が成立します。

藩存続の中で、歴代の藩主は一族の結束を強めるために土地の分与を行ってきました。第2代藩主小堀正之は弟に1,000石を分与し、第4代藩主小堀政房はさらに弟たちに500石と300石を与えました。このようにして、藩は次第に藩領を縮小させていきました。

この藩において重要な時期の一つが第5代藩主小堀政峯の治世です。彼は若年寄として7年半の間重職を務め、大名としての格式を得ることができました。しかし、政峯の死後、彼の後を継いだ第6代藩主小堀政方は複雑な政治情勢の中で苦境に立たされます。政方は伏見奉行として歴任し、さらに権力者である田沼意次に協力的な姿勢を示しましたが、これが災いして天明5年（1785年）に失脚します。

失脚の原因は、親田沼派とされることから、松平定信による徹底的な粛清が行われたためでした。天明8年（1788年）5月には伏見で義民による決起事件が勃発し、このことが幕府に彼の不正行為を知らしめるきっかけとなりました。結果、同年6月12日に藩は改易され、政方は相模小田原藩主の大久保家に拘束されました。これが近江小室藩の廃藩の運命を決定づけた出来事となります。

藩庁である小室陣屋は現在でも一部が残っており、特に陣屋門は移築され、当時の面影を感じさせる貴重な文化財となっています。これにより、近江小室藩の存在を知る上で重要な資料となっています。今日では、この藩の歴史を振り返ることで、地域の文化や歴史の深さを再認識する機会となっているのです。

歴代藩主

近江小室藩は、次のような小堀家の歴代藩主によって支えられてきました。

• - 政一（まさかず） : 元和5年藩主就任 - 正保4年2月6日死去
• - 正之（まさゆき） : 正保4年8月21日藩主就任 - 延宝2年8月24日死去
• - 政恒（まさつね） : 延宝2年11月15日藩主就任 - 元禄7年1月2日死去
• - 政房（まさふさ） : 元禄7年3月6日藩主就任 - 正徳3年10月16日死去
• - 政峯（まさみね） : 正徳3年12月9日藩主就任 - 宝暦10年12月16日死去
• - 政方（まさみち） : 明和7年3月15日藩主就任 - 天明8年6月12日改易

近江小室藩は、歴史的な情景を今に伝え、地域の文化に大きな影響を与えた藩でした。

もう一度検索