小堀政方

小堀政方の生涯と悪政

小堀政方（こぼり まさみち）は、江戸時代中期に存在した大名であり、近江国小室藩の最後の藩主でありました。彼の官位は従五位下・備中守、和泉守で、小堀家の7代目の当主でした。号は宗友と名乗り、その生涯は多くの波乱に満ちていました。

政方は寛保2年（1742年）、5代藩主である小堀政峯の七男として伏見で誕生しました。初名は政弥であり、姉の子であった嫡子の政寿が宝暦2年（1752年）に廃嫡されたことにより、政方が嫡子として扱われるようになりました。父の死去に伴い、彼はわずか18歳で藩主の座に就くことになります。

とりわけ田沼意次の時代、政方は親田沼派として幕政に関与し、さまざまな重要な役職を歴任しました。大番頭や伏見奉行としての活動は、彼の影響力を示しています。しかし、この時代は同時に、天明の飢饉という民衆にとっての厳しい試練の時期でもありました。藩の財政が行き詰まる中、政方は浪費も重なり、民衆からの圧力が増大しました。

特に、彼は伏見町民から不法に総額11万両の御用金を徴収するなどの悪政に苦しめました。このため、1785年には町民の代表である文珠九助や丸屋九兵衛らが政方の非道を松平伯耆守に訴え、ついには伏見奉行を辞めさせられる結果となりました。彼はその後も権力を持っていましたが、次第にその足元が揺らぎ、1786年には田沼の失脚とともに改易され、小田原藩主である大久保忠顕に預けられました。

この一連の出来事は「天明伏見義民一揆」として知られ、義民たちの直訴によって成功した貴重な事例となりました。この出来事を詳細に記した実録本『雨中之鑵子』も後世に残り、町人一揆の代表的な例として評価されています。また、政方自身も改易後は茶人として生き、遠州流茶道の伝承に尽力した点でも評価されています。

政方は享和3年（1803年）に62歳でその生涯を終えました。法号は修禅庵で、東京都練馬区の広徳寺に墓所があります。その後、1828年に小堀仁右衛門家の一門が再興される際、政方家の名前は再び歴史に登場します。また、1887年には伏見義民の功績を称えるため、御香宮神社に「伏見義民の碑」が設立されました。この石碑には政方が「酷吏」として扱われることが記されており、彼の悪政が後の世代に伝わることとなります。

茶道としての役割

茶道に関して、政方は遠州流茶道の発展に寄与しました。昭和48年以降、彼は遠州流茶道の6世家元としてその名を刻んでいます。政方は彼の流派の作法を文書として残すことで、茶道の発展においても重要な役割を果たしました。

家族

政方の家族には多くの子供がおり、特に彼の父は小堀政峯で、政方の母は真珠院です。妻は牧野康周の娘でしたが、彼の子供の中には早世した者も多く、次男や四男、そして女子も名を残しています。

政方は波乱万丈の人生を送った人物であり、彼の業績や悪政は今日でも語り継がれています。彼の生涯は、権力の座にあったにもかかわらず、その行動が民衆を苦しめたことの教訓として後に伝わり続けることとなります。

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