近江鉄道モハ1形電車

近江鉄道モハ1形電車

近江鉄道モハ1形電車は、近江鉄道に在籍した通勤形電車で、制御電動車の形式です。モハ1からモハ6までの計6両が製造されました。また、これらの車両と編成を組んだ制御客車であるクハ1213形（クハ1213・1218 - 1222）も6両存在しました。モハ1形とクハ1213形は、後に700系や800系に改造される名目で車籍を譲り、形式消滅となりました。実車はその後、解体されています。

形態

車体は、131系とほぼ同形の「近江形」と呼ばれるもので、当時流行していた湘南形前面が採用されていました。製造当初の塗装は、西武赤電と同じラズベリー色とベージュ色の塗り分けでした。後に、台車が西武鉄道から譲り受けたFS-40に変更され、釣り掛け駆動ながら空気バネとなりました。廃車時には、黄色の塗装に変更されていました。

モハ1形は、デハニ2形を1963年9月に認可された鋼体化改造名義で、彦根工場において車体新製したものです。台車はKS33L、機器はデハニ2形からの再利用でした。番号の対照は、デハニ9がモハ1、デハニ2から6がモハ2から6となりました。デハニ2形は、1928年の近江鉄道全線電化時に投入された木造車であるデハ1形を荷物合造車に改造したものです。

同じ車体を持ち、モハ1形と編成を組むクハ1213形も、鋼体化改造名義で制御客車の車籍を使い、車体を新製したものです。ハニ1がクハ1213、クハ1209から1211がクハ1218から1220にそれぞれ変更されました。クハ1221と1222は、実車に他車との差はありませんが、新造扱いとなっています。

モハ1形とクハ1213形は、2両固定編成を組んで運用されましたが、モハの車号とクハの車号は連続していません。

前身

これらの車両は、車籍のみを使い、車体を新製して手持ちの機器を装備するという、当時の近江鉄道の典型的な手法を用いて製造されました。ここで取り上げている車両は、書類上車両の履歴が繋がっていることを基準にしており、荷物室を設置した程度のものから、機器などを全く使用していないものまで様々です。明治時代に製造された客車の一部が使用されているわけではありません。

デハ1形およびデハニ2形については、近江鉄道デハ1形電車の記事を参照してください。

ハニ1

クハ1213に車籍を継いだハニ1は、八日市線を開業した湖南鉄道が導入した蒸気動車にその起源を持ちます。1913年（大正2年）に汽車会社で製造された工藤式蒸気動車キロハ1・2が、キハニ1・キハ2、さらに客車化改造でホハフ2・3、そしてハニ2・1となりました。

クハ1209

クハ1209は、1898年（明治31年）の開業時のマッチ箱客車に遡ります。西武鉄道の木造制御車を購入し、自社の木造客車の台車を履かせたものです。車体と車体の新旧対照は、クハ1209が西武クハ1252とフホハ28、1210が西武クハ1254とフホハ29、1211が西武クハ1255とフホハ27となります。

参考文献

* 井上広和・高橋摂『カラーブックス 日本の私鉄24 近畿』保育社、1983年。ISBN 978-4586505982。

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