近衛兵 (イギリス)

イギリス陸軍近衛部隊：伝統と近代性を兼ね備えた精鋭部隊

イギリス陸軍の近衛部隊は、君主の警護や象徴的な儀式の遂行といった伝統的な役割に加え、現代戦に対応できる実戦部隊としての側面も持ち合わせています。その歴史は深く、各連隊には数世紀にわたる歴史と伝統が刻まれています。本稿では、近衛部隊の構成、歴史、任務、そして各連隊の特徴について詳細に解説します。

近衛部隊の編制

イギリス陸軍の近衛部隊は、大きく分けて王室騎兵と近衛歩兵に分類されます。これらの部隊は、王室師団(Household Division)という組織の下に統合され、ロンドン管区司令官が師団長を兼任しています。一方、管理単位としては近衛師団(Guards Division)が設置され、近衛歩兵5個連隊と予備役部隊である国防義勇軍の一部が所属します。

かつて各連隊に存在した軍楽隊は、1994年に陸軍音楽軍団に統合されましたが、式典などでは元の連隊と共に活動しています。

王室騎兵

王室騎兵は2個[連隊]]からなり、各連隊は3個中隊の編成です。シミター偵察装甲車などの近代的な装備も保有し、訓練や偵察任務にも従事します。バッキンガム宮殿やウィンザー城では、交代で1個中隊が乗馬による衛兵勤務を行っています。これらの乗馬中隊は、王室騎兵乗馬[[連隊]を編成します。

近衛歩兵

近衛歩兵は5個連隊から構成されます。アイリッシュガーズとウェルシュガーズは第1大隊のみの編成ですが、グレナディアガーズ、コールドストリームガーズ、スコッツガーズは、第1大隊に加え、ロンドン警備を常時担当する増強中隊を擁しています。

各近衛歩兵連隊の第1大隊は、3個小銃中隊、支援中隊、大隊本部中隊からなり、ドラム隊のほか、スコッツガーズとアイリッシュガーズにはパイプ隊も編成されています。

衛兵任務部隊

ロンドンの衛兵任務は、ロンドン管区の指揮下で行われます。3個大隊が数年毎にローテーションで警備にあたり、そのうち2個大隊は近衛歩兵連隊から、残りの1個大隊は他の歩兵連隊から選抜されます。近衛連隊以外の部隊も儀仗任務に就くことがあります。イギリス連邦諸国からの派遣部隊も衛兵勤務に参加する場合があります。

王室部隊(Household Troops)は、近衛歩兵[連隊]]の増強中隊、王室騎兵乗馬連隊、ロンドン警備担当大隊、そして王立騎馬砲兵・国王[[中隊]から編成されます。

各連隊の詳細

以下、各近衛連隊と、他の衛兵任務部隊について、その歴史と特徴を簡単に説明します。

騎兵連隊

[ライフガーズ]: 清教徒革命期に設立された王党派の騎馬隊を起源とし、1788年に現在の名称となりました。
[ブルーズ・アンド・ロイヤルズ]: 1969年にロイヤル・ホースガーズと第1ロイヤル竜騎兵連隊が統合されて誕生しました。

歩兵連隊

グレナディアガーズ(Grenadier Guards): チャールズ2世の護衛隊を起源とし、ワーテルローの戦いで活躍したことから、現在の名称となりました。上着のボタンは8個、帽子の羽根飾りは左側に白。
コールドストリームガーズ(Coldstream Guards): 継続して任務に就いている部隊としては世界最古です。上着のボタンは8個、帽子の羽根飾りは右側に赤。
スコッツガーズ(Scots Guards): 1642年創設。ワーテルローの戦いではウーグモン館の死守に貢献しました。上着のボタンは9個、帽子の羽根飾りは無し。
アイリッシュガーズ(Irish Guards): ボーア戦争でのアイルランド人部隊の活躍をたたえて1900年に創設されました。上着のボタンは8個、帽子の羽根飾りは右側に青。
ウェルシュガーズ(Welsh Guards): 1915年に創設。第一次世界大戦、第二次世界大戦、フォークランド紛争などに従軍しました。上着のボタンは10個、帽子の羽根飾りは左側に白と緑。

衛兵任務部隊

王立[騎馬砲兵]]・国王中隊]: 王立[[騎馬砲兵の一部。乗馬による衛兵勤務や国葬時の棺曳きを担当します。
ソブリンズ[ボディーガード]: 君主の警護を行う名誉職。儀仗任務のみで、実戦配備はありません。
ヨーマン・オブ・ザ・ガード(Yeomen of the Guard): ヘンリー7世によって1485年に創設された。
ジェントルマン・アット・アームス(Gentlemen at Arms): ヘンリー8世によって1509年に創設された。
ロイヤル・カンパニー・オブ・アーチャーズ(Royal Company of Archers): スコットランドにおける君主の護衛を行う名誉職。

まとめ

イギリス陸軍の近衛部隊は、伝統と近代性を兼ね備えた精鋭部隊です。その歴史と伝統は、イギリスの象徴として、そして実戦部隊としての高い能力を備えています。各連隊の個性的な歴史と制服、そして現代戦に対応した装備と訓練は、近衛部隊を世界的に知られた存在にしています。

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