近見正彦

近見 正彦の人物と業績

近見正彦（ちかみまさひこ）は、1946年生まれの日本の保険学者及び歴史学者です。彼の専門は保険法、海上保険契約、と海上保険史にあり、特にこの分野での研究において高く評価されています。1998年に一橋大学から商学の博士号を取得し、名誉教授として名高い教育者でもあります。

学歴と初期キャリア

1970年、近見氏は一橋大学商学部を卒業し、三菱銀行（現 三菱UFJ銀行）に入行しました。その後、1973年に同大学大学院商学研究科の修士課程を修了し、1976年には博士課程の単位を取得した後に満期退学となりました。彼の指導教官は著名な教員である木村栄一氏でした。1998年には博士論文「14・5世紀地中海時代における海上保険条例および同契約法理の研究」により、ついに一橋大学から博士号を授与されました。この論文の審査委員には、杉山武彦氏、鈴木良隆氏、下和田功氏が名を連ねていました。

教職と業績

近見氏のキャリアの始まりは1976年で、専修大学商学部の専任講師に就任。その後、助教授としての地位を経て、1982年に青山学院大学経営学部の助教授となります。1984年には各務財団が授与する各務奨励賞を受賞し、その業績が広く認知されるようになりました。1987年には一橋大学の商学部に助教授として招聘され、1990年に教授に昇進しました。

彼は1994年から1995年まで、ハンブルクで海上保険法史及び海上保険契約の研究に従事しました。1997年には一橋大学イノベーション研究センターの委員会の委員としても活動しました。2002年には日本保険学会の理事長を務め、保険学界の発展に寄与しました。定年退職後は埼玉学園大学経営学部で教授及び会計学科長を務めました。さらに、2009年には内閣府の行政刷新会議の委員としても活躍しました。

著作

近見氏の著作は多岐にわたり、保険学に関する数多くの書籍を共著あるいは編著として出版しています。例えば、1993年に木村栄一氏、安井信夫氏、黒田泰行氏と共に著した『保険入門』は、保険の基礎を学ぶための重要な資料として評価されています。また、1997年に発表された『海上保険史研究―14・5世紀地中海時代における海上保険条例と同契約法理』は、彼の専門知識を基にした詳細な研究成果です。その他にも、1998年の『現代保険学』、2006年の『新・保険学』、2011年及び2016年の改訂版『保険学』といった著作もあり、これらは多くの学生や研究者に利用されています。

近見正彦氏は、日本における保険学の発展に強く寄与し、今もなおその影響力を持つ学者として広く認識されています。

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