近鉄23000系電車

近鉄23000系電車：伊勢志摩ライナー

近鉄23000系電車は、近畿日本鉄道が誇る特急形車両であり、「伊勢志摩ライナー」の愛称で親しまれています。1994年3月15日のダイヤ変更に合わせて営業運転を開始し、伊勢志摩への観光輸送を担ってきました。車両の電算記号は「iL」で、これは「Ise-shima Liner」に由来します。

概要

志摩スペイン村の開業に合わせて製造された23000系は、1993年から1995年にかけて6両編成6本が製造されました。主な運行区間は、近鉄名古屋、大阪難波、京都から賢島や鳥羽を結ぶ路線です。また、京都 - 近鉄奈良間、大阪難波 - 近鉄奈良間でも運用されています。

本系列で運用される特急は、時刻表で太陽をイメージしたシンボルマークや「IL」の表記で識別できます。1994年には、社団法人日本鉄道建設業協会ブルネル賞（奨励賞）を受賞しました。

開発の経緯

伊勢志摩を代表するリゾート地へのアクセスを担う特急として、以下のコンセプトに基づいて開発されました。

観光の旅を演出する車両
グループ旅行に適した車両
近代的なデザインと高品質を備えた車両
近鉄らしさを残しつつ新たな魅力を持つ車両
* スピードアップに対応できる車両

車両デザインは、近鉄、近畿車輛デザイン室、手銭正道、山内陸平のデザインチームが担当しました。スペイン国鉄AVE（レンフェ100系）もデザインの参考にされています。

車両構造

車体

先頭形状は、21000系のイメージを受け継ぎつつ、流線形とクサビ形を組み合わせたデザインです。大型曲面ガラスを使用したパノラマデッキが特徴的で、眺望性に優れています。外板塗装は、太陽光線をイメージしたサンシャインイエロー、クリスタルホワイト、グレイッシュサンドを基調とし、アクアブルーの帯がアクセントとなっています。

編成

6両編成で、大阪側からク23100形 - モ23200形 - モ23300形 - モ23400形 - モ23500形 - ク23600形という構成です。編成定員は281名で、デラックスカー、サロンカー、レギュラーカーがあります。

機器類

制御方式はVVVFインバータ制御を採用し、最高速度は130km/hです。ブレーキ装置は回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキを使用しています。台車はボルスタレス式で、ヨーダンパとディスクブレーキが装備されています。

客室

サロンカー

グループ向けのセミコンパートメントで、向かい合わせ式の座席とテーブルが設けられています。開放感を演出するために大きな窓が採用され、電動ロールカーテンが設置されています。

デラックスカー

2人掛けと1人掛けのリクライニングシートが並び、幅広のヘッドレストやテーブルが特徴です。モケットは深紅色の「クリムソンレッド」が採用され、情熱的なスペインを表現しています。

レギュラーカー

リクライニングシートが並び、シートモケットは志摩スペイン村のテーマカラーをランダムに配置しています。各車両にはテーマカラーが設定され、内装にも反映されています。

その他の設備

モ23300形には「シーサイドカフェ」と称する車内販売コーナーが設けられています。また、運転室後部は「パノラマデッキ」となっており、展望スペースとして利用できます。

リニューアル

2012年から内外装のリニューアル工事が実施され、全席禁煙化、座席の電源コンセント設置、フリーパターンディスプレイの大型化などが行われました。外観は、サンシャインレッドとサンシャインイエローの2種類の塗装に変更されました。

現在の運用

大阪難波、大阪上本町、近鉄名古屋、京都と松阪、宇治山田、鳥羽、賢島の間を結ぶ伊勢志摩特急を中心に運用されています。また、大阪難波 - 近鉄奈良間、京都 - 近鉄奈良間、京都 - 橿原神宮前間でも運用されています。

2024年2月からは、伊勢志摩ライナー運転開始30周年と志摩スペイン村開園30周年を記念したロゴマークが掲出されています。同年2月27日からは、ミジュマルをラッピングした「ミジュマルライナー」が運行を開始しました。

近鉄23000系電車は、伊勢志摩への旅を快適に、そして楽しく彩る特急車両として、これからも多くの人に利用されることでしょう。

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