近鉄80000系電車

近鉄80000系電車「ひのとり」

近畿日本鉄道が2020年3月14日に運行を開始した近鉄80000系電車、愛称「ひのとり」は、標準軌線用の特急形電車です。この車両は、6両編成が8本、8両編成が3本、計72両が製造され、次世代の特急車両として名阪甲特急に投入されました。

概要

「ひのとり」は、先進的なデザインと快適な車内空間を特徴としており、その外観は深みのあるメタリックレッドで塗装されています。名付けの由来は、大きく羽を広げて飛ぶ鳥に例えられたことから来ており、スピード感を演出しています。近鉄80000系は、21000系「アーバンライナー」や21020系「アーバンライナーnext」の後継車両として、名阪甲特急に用いられています。これに伴い、これまでの21000系や21020系は、他の特急運用に再配置され、汎用の特急車両の置き換えも行われました。

この新しい車両は、2020年10月には「グッドデザイン賞」のベスト100に選ばれ、2021年には「第64回ブルーリボン賞」を受賞するなど、高い評価を得ています。

開発の背景

近鉄特急の利用者数が減少していた中で、競争力を高めるために新たな特急車両の開発が進められました。そのコンセプトは「お客さまの満足を追求すること」で、それに基づき車両は設計されました。特に乗車空間の広さや、快適さを重視した「しまかぜ」の成功を受けて、新たに開発されたのが「ひのとり」です。両系列は同じくハイデッカー構造やプレミアムシートを採用しながらも、名阪甲特急用の流線形で2クラス制の設計となっています。

編成と構造

この電車は、3M3T（電動車3両・付随車1両・制御車2両）の6両編成または4M4T（電動車4両・付随車2両・制御車2両）の8両編成として構成されています。

• - 6両編成: 編成定員239名（プレミアム42名、レギュラー197名）
• - 8両編成: 編成定員327名（プレミアム42名、レギュラー285名）

車体と外観

車体には普通鋼が使われており、先頭車両はハイデッカー構造、中間車両は平床構造となっています。先頭部には衝突時の衝撃を軽減するためのクラッシャブルゾーンが設けられており、安全性にも配慮されています。外装は5層塗装で施され、プレミアムゴールドの帯とロゴが施されています。流線形の先頭形状とLED前照灯は、この車両の特徴として目を引くポイントです。

車内設備

「ひのとり」では「くつろぎのアップグレード」をテーマとして、全席がリクライニング可能なバックシェルシートを採用し、乗客に快適な空間を提供しています。プレミアム車両には本革を使用した広々としたシートが配され、最新の設備やサービスが整えられています。また、荷物置き場やカフェスペース、自動販売機も設けられ、便利さが追求されています。全席にコンセントが設置され、Wi-Fiサービスも利用可能です。

運用と定期運行

「ひのとり」は、現在、大阪難波駅と近鉄名古屋駅を結ぶ名阪甲特急や、大阪難波駅と近鉄奈良駅を結ぶ阪奈特急に運用されています。2020年度中には全編成が導入され、乗客のニーズに応えるよう増便が行われました。また、臨時列車も設定され、伊勢志摩方面への臨時特急としても活用されるなど、幅広く運行されています。

結論

近鉄80000系電車「ひのとり」は、デザイン、快適性、先進的な技術を兼ね備えた特急形電車です。その導入は近鉄特急の進化を示し、乗客に新しい鉄道旅のスタイルを提供する役割を果たしています。

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