追い風参考記録

追い風参考記録について

追い風参考記録（おいかぜさんこうきろく）は、陸上競技の世界において風速が特定の条件を満たした場合に記録される特別な記録です。この記録は、秒速2.0メートルを超える追い風が存在する状態で出されたものであり、正式な公認記録とは異なる位置付けを持ちます。

概要

追い風の影響を受ける種目としては、短距離走（100m・200m）、ハードル競走（110m・100m）、走幅跳、三段跳などがありますが、追い風参考記録の判定がなくすべてが公認される種目も存在します。一般には「追い参」や「参考記録」と呼ばれ、向かい風が強く吹いている況でも、記録は公認されることがあるため、その特異性が際立っています。

追い風参考記録における「追い風」とは、スタート瞬間の風速を基準にするのではなく、一定時間内の「風速の平均値」に基づいて判断されます。現代では、デジタルの風速計を使用してこの数値を算出することが容易になっています。風向風速計は、トラックの周回路の第一レーンのフィニッシュラインの手前50メートルに設置され、100分の1秒単位で風速を計測し、その結果は切り上げられることになっています。追い風や向かい風などの風速は、トラックの進行方向に直行するものが測定され、横風の数値は考慮されません。混成競技については、追い風が秒速4.0メートルを超えない限りは公認記録として認められますが、これを超えると追い風参考記録となるのです。

国際陸上競技連盟の定めるルールに基づく競技会のみが記録として公認されるため、注意が必要です。

代表的な競技

100メートル競走

これまでに多くの名選手が追い風参考記録の下で注目すべきタイムを残しています。1996年のエル・パソ大会でオバデレ・トンプソンが出した9秒69の記録は、当時の世界記録を上回るもので、追い風5メートル/秒という条件のもとで達成されました。また、タイソン・ゲイが2008年の全米選手権で記録した9秒68も追い風4.1メートル/秒でした。2015年にも桐生祥秀が追い風3.3メートル/秒の状況下で9秒87をマークしたことで、日本の陸上界に新たな歴史を刻みました。

200メートル競走

200メートル競走においても記録が数多く存在します。リロイ・バレルが1990年に追い風4メートル/秒の状態で19秒61を記録し、またマイケル・ジョンソンが1996年に追い風2.7メートル/秒で19秒70を達成しました。これらの素晴らしい成果も、追い風参考記録の影響が大きく寄与しています。

ハードル競走

110メートルハードルの記録でもレナルド・ニアマイアが1979年に追い風3.5メートル/秒のもとで12秒91を達成し、ロジャー・キングダムは1989年に追い風2.6メートルで12秒87を記録しました。

その他の跳躍競技

三段跳びでは、ウィリー・バンクスが1988年に追い風5.2メートル/秒の状況で18メートル20センチを記録し、これが初めて18メートルを超えたジャンプとして知られています。走幅跳でも、イバン・ペドロソが追い風2.4メートルの中、8メートル89センチを達成しました。

このように、追い風参考記録は陸上競技において非常に重要な要素であり、選手たちのパフォーマンスに大きく影響を与えています。選手たちは、風の影響を受けつつも、自身の限界に挑む姿を見せ続けています。

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