追捕使

追捕使（ついぶし）

追捕使は、日本の律令制下において設置された令外官の一つで、主に警察・軍事的な役割を担いました。当初は臨時の官職として設けられましたが、後に諸国に常設されるようになり、地方の治安維持に重要な役割を果たしました。

概要

追捕使が最初に設置されたのは、932年（承平2年）のことです。この時、南海道で頻発していた海賊や凶賊を掃討するために設けられました。「追捕」とは、文字通り「追い捕らえる」という意味であり、当初は軍事的な役割は含まれていませんでした。しかし、海賊や反乱などの鎮圧を目的とする中で、実際に戦闘に当たることも多くありました。

追捕使として特に有名な人物としては、承平天慶の乱で藤原純友の乱の鎮圧に尽力した小野好古が挙げられます。

その後、追捕使は諸国に常設されるようになり、国司が追捕使を兼任したり、地方の豪族が任命されたりするケースが多くなりました。12世紀末頃になると、一国の警察・軍事的な役割を担う官職として惣追捕使（総追捕使）が登場し、追捕使の職務は惣追捕使へと引き継がれました。さらに、1185年には源頼朝が日本国惣追捕使に任命され、諸国の惣追捕使の任免権が鎌倉殿に移りました。この惣追捕使は後に守護と名を変え、後の守護大名へと発展していくことになります。

追捕使の役割

追捕使は、当初は海賊や凶賊の追捕を主な任務としていましたが、その役割は時代とともに変化しました。常設化されるにつれて、地方の治安維持全般を担うようになり、反乱の鎮圧や犯罪者の逮捕など、幅広い活動を行うようになりました。また、必要に応じて軍事的な動員も行い、地方の軍事力としても機能しました。

追捕使の変遷

追捕使は、律令制の変質とともにその役割を変えていきました。当初は国司の指揮下にあった追捕使も、次第に独立性を強め、独自の勢力を持つようになりました。特に、惣追捕使の登場は、追捕使の権限を強化し、地方武士の台頭を促す要因の一つとなりました。

鎌倉幕府の成立後、追捕使の権限は幕府に移行し、守護という新たな官職へと引き継がれていきました。守護は、追捕使の役割を継承し、地方の軍事・警察権を掌握しました。この守護が、後の守護大名へと発展していくことになります。

関連項目

地頭に関する記事へのリンク'>地頭
押領使
鎌倉幕府に関する記事へのリンク'>鎌倉幕府
守護に関する記事へのリンク'>守護
* 守護大名に関する記事へのリンク'>守護大名

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