小野好古

小野好古（おののよしふる）は、平安時代前期から中期にかけて活躍した公卿であり、歌人としても名を残しています。参議であった小野篁の孫、大宰大弐を務めた小野葛絃の次男として生まれました。また、書道家として有名な小野道風は彼の弟にあたります。

若い頃から官界に入り、讃岐権掾や春宮権少進といった役職を経験しました。延喜22年（922年）には従五位下・右京亮に任じられ、その後、醍醐朝後期には大蔵少輔や中宮大進といった重要な役職を歴任しました。

朱雀朝に入ると、武官としての才能も発揮し、右衛門権佐、右近衛少将と昇進を重ねました。承平2年（932年）には従五位上、天慶2年（939年）には正五位下、天慶4年（941年）には従四位下へと順調に昇進しています。その間、天慶2年（939年）に発生した藤原純友の乱では、追捕山陽南海両道凶賊使長官として九州に赴き、藤原純友軍を博多津で撃退する功績を挙げました。

その後、文官に転じ、左中弁を務めた後、天慶8年（945年）には大宰大弐として再び地方官となりました。村上朝初期には参議に任じられ公卿の仲間入りを果たしますが、引き続き大宰大弐を兼任し、天暦3年（949年）末までその職を務めました。その後は、讃岐権守や備中権守などの地方官を兼ねながら、議政官としても活躍し、天徳2年（958年）には正四位下に昇進しました。77歳になった天徳4年（960年）には再び大宰大弐に任命され、応和2年（962年）には従三位に至りました。

冷泉朝初期の康保4年（967年）7月7日に官界を引退し、翌康保5年（968年）2月14日に85歳で亡くなりました。最終的な官位は致仕参議従三位大宰大弐でした。

勅撰歌人としても知られ、『後撰和歌集』に4首、『拾遺和歌集』に2首の和歌が収録されています。また、大宰府において曲水の宴を始めた人物としても伝えられています。

官歴

延喜12年（912年）3月27日：讃岐権掾
延喜17年（917年）正月29日：春宮権少進（春宮・保明親王）
延喜22年（922年）正月7日：従五位下。5月26日：右京亮
延長2年（924年）8月9日：大蔵少輔
延長3年（925年）10月14日：中宮大進（中宮・藤原穏子）
延長8年（930年）11月16日：右衛門権佐
承平元年（931年）閏5月11日：昇殿
承平2年（932年）11月16日：従五位上
承平5年（935年）2月23日：備前権介
承平6年（936年）正月29日：中宮権亮（中宮・藤原穏子）
承平8年（938年）3月26日：右近衛少将、中宮権亮備前権介如元
天慶2年（939年）正月7日：正五位下。2月1日：兼近江権介
天慶3年（940年）正月：兼追捕凶賊使
天慶4年（941年）5月7日：従四位下。8月18日：昇殿
天慶5年（942年）3月28日：左中弁。12月：備前(権)守
天慶7年（944年）2月21日：兼山城守
天慶8年（945年）10月14日：大宰大弐
天暦元年（947年）4月26日：参議。5月2日：太宰大弐如元。12月25日：任大弐（復任）
天暦4年（950年）正月25日?：辞太宰大弐
天暦7年（953年）正月7日：従四位上。正月27日：兼讃岐権守
天暦9年（955年）9月17日：兼備中権守
天徳2年（958年）正月7日：正四位下。閏7月18日：兼弾正大弼
天徳3年（959年）7月17日：兼左大弁
天徳4年（960年）正月24日：兼備中守。4月23日：任大宰大弐、止弁弼等
応和2年（962年）正月7日：従三位
康保2年（965年）日付不詳：止大弐
康保4年（967年）7月7日：致仕（参議従三位大宰大弐）
康保5年（968年）2月14日：薨去

系譜
父：小野葛絃
母：王氏
妻：不詳
男子：小野永樹
男子：小野千古
女子：
女子：大蔵春実室

脚注

参考文献
宝賀寿男『古代氏族系譜集成』古代氏族研究会、1986年
『公卿補任 第一篇』吉川弘文館、1982年

小野好古が登場する作品
『平安流風』桑山泰雄
『陰陽師 瀧夜叉姫』夢枕獏
『絶海にあらず』北方謙三
『芦屋道満大内鑑』初代竹田出雲

外部リンク
『小野好古』 - コトバンク

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