逃げろや逃げろ大レース

『逃げろや逃げろ大レース』(原題:MOTOR MOUSE AND AUTO CAT)は、1969年から1971年にかけてアメリカ合衆国のABC放送で放映されたテレビアニメーション作品です。日本では1971年から1972年にかけてNHK総合テレビの『少年映画劇場』で放送され、多くの子供たちを魅了しました。

本作は、様々な自動車を駆使してネズミのモーターマウスを捕まえようとする猫のオートキャットの活躍を描いたコメディアニメです。毎回、オートキャットは巧妙な罠を仕掛けますが、モーターマウスの機転と勇敢さでことごとく失敗に終わります。猫とネズミの追いかけっこは、ハラハラドキドキの展開で、子供たちの心を掴んで離しません。 二人は追いかけっこ以外では、まるで友人同士のように普通に会話をする場面も見られ、独特のユーモラスな関係性が魅力です。

北米では、『Cattanooga Cats』、『Around the World in 79 Days』、『ラムヂーちゃん』(原題:IT'S THE WOLF)といった他のアニメ作品と同時放送されていました。一方、日本では『ラムヂーちゃん』とのカップリングでの放送でした。

『Cattanooga Cats』は、擬人化された猫のロックバンドが、熱狂的なファンである雌猫グルーピーに追いかけ回される物語です。日本では未放映でした。『Around the World in 80 Days』をモチーフにした『Around the World in 79 Days』は、主人公の孫であるフィリアス・フォッグと報道記者のジェニーが、先祖の記録更新を目指し、捜査三課の警部とその部下から追われる物語です。こちらも日本での放送はありませんでした。

主要キャラクターは、自動車を駆使してモーターマウスを追い詰めるオートキャットと、様々な工夫でオートキャットをかわすモーターマウスです。オートキャットの声優はマーティ・インゲルス(北米版)で、日本版では山崎唯さんが担当しました。モーターマウスの声優は、ディック・カーティス(北米版)で、日本版では谷村昌彦さんが担当。北米版ではモーターマウスは独特の方言で話していました。

スタッフは、数々の名作アニメを生み出してきたハンナ・バーベラ・プロダクションが制作を担当。日本版の吹き替え制作はNHKエンタープライズが行いました。

日本の再放送では、灘康次とモダンカンカンが歌う主題歌「逃げろや逃げろ大レース」が使用されました。しかし、この主題歌には現在では使用できない差別用語が含まれているため、現在の再放送では使用されていません。東京12チャンネルの『マンガのくに』や日本テレビの『まんがパレード』などで再放送されましたが、民放での再放送時には問題の主題歌が使用されていました。

『逃げろや逃げろ大レース』は、ハンナ・バーベラ・プロダクションの代表作である『トムとジェリー』と同様に、猫とネズミの追いかけっこを題材とした作品です。しかし、本作は『トムとジェリー』とは異なる独特のユーモラスな雰囲気と、テンポの良い展開で、子供たちだけでなく大人も楽しめる作品となっています。自動車を使った様々なアクションシーンや、個性豊かなキャラクターたちの掛け合いは、何度見ても飽きることがありません。現代においても、その魅力は色褪せることなく、多くのアニメファンに愛され続けています。

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