ラムヂーちゃん

『ラムヂーちゃん』(原題:It's the Wolf)は、1969年9月6日から9月4日までアメリカ合衆国のABC放送で放映されたHanna-Barberaプロダクション制作のテレビアニメです。日本では1971年9月12日から1972年1月23日までNHKで放送されました。

本作は、主人公の仔羊、ラムヂーとその天敵であるオオカミの攻防をコミカルに描いた作品です。毎回、オオカミは巧妙な変装でラムヂーを捕らえようとしますが、ラムヂーはオオカミの正体を見破り、「オオカミだよーっ!!」と叫びます。すると、ラムヂーの護衛役であるイヌのオジサンが駆けつけ、杖でオオカミを吹っ飛ばして一件落着、というパターンが繰り返されます。

北米では『Cattanooga Cats』、『Around the World in 79 Days』、『逃げろや逃げろ大レース』(原題:MOTOR MOUSE AND AUTO CAT)といった作品とカップリングで放送されましたが、日本では『逃げろや逃げろ大レース』とのみ同時放送されました。この組み合わせは、日本の視聴者にとって本作をより身近なものにしたと言えるでしょう。

主要キャラクターは、個性豊かに描かれています。まず主人公のラムヂーは、いたずら好きで好奇心旺盛な仔羊です。一方、悪役のオオカミは、様々な姿に変装するものの、いつもラムヂーに見破られてしまう、どこか憎めないキャラクターです。そして、頼もしい味方のオジサンは、ラムヂーを常に守る忠実なイヌとして描かれています。これらのキャラクターは、子供たちに親しみやすく、印象的な存在感を放っていました。

ラムヂー役の声優には、アメリカ版ではドーズ・バトラー、日本版では白石冬美が起用されました。オオカミ役はアメリカ版でポール・リンド、日本版で名古屋章。そしてオジサン役はアメリカ版でアラン・メルビン、日本版で高木均が務めました。これらのベテラン声優陣の演技により、キャラクターたちはより魅力的なものとなり、作品全体を盛り上げています。

再放送時には、「ラムヂーちゃん」という主題歌が使用されました。灘康次とモダンカンカン+吉田みちるによるこの曲は、軽快なメロディーと覚えやすい歌詞で、作品の世界観をより一層印象的に彩りました。また、東京12チャンネルの『マンガのくに』などでも再放送され、幅広い世代の視聴者に親しまれました。

興味深いことに、本作に登場するオオカミは、1978年に制作された『まんがオールスター おもしろオリンピック』にも出演しています。『早射ちマック』からのスピンオフキャラクター、スナッグルパスと共に、現地レポーター役として登場しており、本作と『まんがオールスター おもしろオリンピック』の意外な繋がりを示しています。この作品も『マンガのくに』で放送されたため、日本の視聴者にとっては、オオカミの再登場がより記憶に残る出来事だったと言えるでしょう。

『ラムヂーちゃん』は、シンプルなストーリーと魅力的なキャラクター、そして軽快なテンポで、子供たちに多くの夢と感動を与えた作品です。短い放送期間にもかかわらず、多くの視聴者の記憶に残る、Hanna-Barberaプロダクションを代表するアニメーション作品の一つと言えるでしょう。また、『逃げろや逃げろ大レース』とのカップリング放送も、日本のアニメーション史において重要な位置づけを占めていると言えるでしょう。

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