通岡道路

通岡道路（かよおかどうろ）

通岡道路は、かつて岩手県陸前高田市から大船渡市にかけて存在した有料道路です。日本道路公団によって建設・管理され、通岡峠を迂回するバイパスとして、地域間の交通を円滑にする役割を担っていました。

概要

この道路は、現在の国道45号の一部であり、陸前高田市米崎町から大船渡市大船渡町を結ぶ区間です。1963年に有料道路として開通し、1973年に建設省（現在の国土交通省）に移管された際に無料開放されました。有料道路時代の主な諸元は以下の通りです。

起点: 岩手県陸前高田市米崎町字沼田（国道45号陸前高田バイパス、岩手県道38号大船渡広田陸前高田線（旧道）、岩手県道141号陸前高田停車場線の交点）
終点: 岩手県大船渡市大船渡町字丸森（旧岩手県道38号大船渡広田陸前高田線との交点）
料金所: 岩手県陸前高田市米崎町字川向
延長: 8,210.8m
最小曲線半径: 40m
最急縦断勾配: 8.0％
展望所: 1ヶ所
総事業費: 4億9,000万円
当初料金徴収期間: 1963年11月30日から1993年11月29日（30年間）
無料開放日: 1973年4月1日

通行料金（主なもの）

普通乗用自動車：150円
普通貨物自動車：200円
小型乗用自動車（小型二輪自動車を除く）・小型貨物自動車：100円
特殊自動車：300円
小型二輪自動車・軽自動車：40円
原動機付自転車：30円
軽車両：20円
自転車：10円

建設の背景

江戸時代、三陸地方の陸上交通は、浜街道が主要な役割を担っていました。現在の岩手県南東部、気仙郡の区間は気仙道と呼ばれており、陸前高田市から大船渡市にかけては通岡峠を通過していました。通岡峠は急峻な地形のため、自動車交通には不向きでした。そのため、1953年に国道111号が指定された際には、箱根山の南側を迂回するルートが採用されました。しかし、このルートは海側に大きく迂回するため距離が長く、特に大船渡市側では道路幅が狭く、線形も悪いため、早期の改善が求められていました。

このような状況下で、通岡峠を短絡する国道111号のバイパス建設が計画され、日本道路公団によって1961年1月に工事が開始されました。工事中の名称は「通岡峠道路」でしたが、供用開始時に「通岡道路」と改められました。また、当初は二級国道八戸仙台線の改築工事として大船渡市側を起点としていましたが、1963年4月1日に国道45号へ昇格した際に、起点が青森市に変更されたため、結果的に起終点が逆転しました。

有料道路時代

通岡道路の開通により、陸前高田市と大船渡市間の所要時間は約30分短縮されました。開通から2年後の1964年度には年間156,602台だった交通量が、1972年度には684,790台にまで増加しました。交通量の増加に伴い、早期無料開放への要望が高まり、また旧一級国道の第一次改築が1973年度をもって完了することから、自治体が未償還額の一部を負担することを条件に、有料道路が無料開放されることとなりました。1973年3月31日をもって料金徴収が終了し、翌4月1日から無料開放されました。岩手県が負担した未償還額は630万円でした。

無料開放後

無料開放後は、建設省（2001年からは国土交通省）によって維持管理が行われ、2016年現在は東北地方整備局三陸国道事務所が所掌しています。旧国道111号の海側を通っていた区間は岩手県に移管され、大部分が岩手県道38号大船渡広田陸前高田線となっています。

三陸海岸を縦断する自動車交通網は、高規格の自動車専用道路である三陸沿岸道路の整備が進められています。陸前高田市と大船渡市を結ぶ区間は高田道路として完成しており、通岡峠を挟む区間（通岡IC～大船渡碁石海岸IC）は2009年3月15日に供用が開始されました。この区間には通岡トンネル（1,230m）が建設され、旧通岡道路の交通量は大幅に減少しました。2010年3月には、旧道の一日あたりの交通量は約1,600台まで減少しました。

東日本大震災の影響

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震（東日本大震災）は、陸前高田市と大船渡市にも甚大な被害をもたらしました。海岸から離れた地域では被害が小さかったものの、陸前高田バイパスとの接点付近は津波の直撃を受け、JR大船渡線等と立体交差していた沼田跨線橋が流失するなどの被害を受けました。

脚注

注釈

出典

関連項目

東北地方の道路一覧
無料開放された道路一覧

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