通級

通級による指導

概要

通級による指導は、日本における特別支援教育の一環として、通常学級の中で障害のある児童や生徒に特別な支援を行う制度です。この制度は、1993年度に公式に始まり、以降、軽度な障害を持つ児童生徒に対して、教育課程における柔軟な対応を実現しています。

制度の背景

1960年代後半には、すでに言語障害や難聴に対応する特殊学級が存在し、これらの教室は「ことばの教室」や「きこえの教室」と呼ばれ、弾力的に運用されていました。1990年に文部省が通級の調査研究に取り組み、1993年に正式な制度として導入されました。この制度は、小中学校における通常学級に在籍する軽度の障害を持つ児童生徒を対象に、特別な教育課程が提供されます。

通級による指導の対象者

通級による指導を受けるためには、通常の学級での学びを基本にしつつ、特別支援教育との併用が行われます。ただし、すべての障害児が自動的にこの制度に関与するわけではなく、様々な指導法からの選択肢の一つとして位置づけられています。またこの制度の必要性は、医学的な診断だけでなく、幅広い要因から判断されます。

指導の実施時間

通級による指導は、年間で35単位時間から最大280単位時間まで行うことが標準とされています。これを週単位に換算すると、おおむね1時間から8時間程での指導が行われます。ただし、学習障害や注意欠陥・多動性障害を持つ生徒には、月に1回の指導でも効果が期待できる場合があり、年間10単位時間が下限とされています。

高等学校における制度

高等学校においては、2018年度からこの通級による指導の制度が導入され、年間7単位を超えない範囲で必要な単位数に加えることが可能です。これにより、生徒一人ひとりが特別支援を受けながら、学びを深めることが期待されています。

現在の状況

2021年度には、全国の小中高等学校で合計18万3879人の児童生徒が通級による指導を受けていました。2022年度には、その数が19万8343人に増加しました。このデータは、石川県の能登半島地震の影響を除いたもので、前年度から約1万4000人の増加が確認されています。

まとめ

通級による指導は、義務教育の中で障害のある児童生徒が適切な支援を受け、学びを続けるための重要な制度です。この制度を通じて、特別支援教育がより身近に、また効果的に行われることが期待されており、今後も進化し続けることが求められています。

もう一度検索