速水守久

速水守久

速水守久（はやみ もりひさ）は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけての武将・大名であり、豊臣氏に仕えた家臣として知られています。

生涯

若き日々と秀吉への仕官

速水氏は近江国浅井郡速水城を拠点とする国人でした。速水実政の子である時久の子として生まれた守久は、当初浅井氏に仕えていました。天正元年（1573年）に羽柴秀吉に仕え、近習組頭となります。小牧・長久手の戦いや小田原征伐などの戦いに参加し、文禄・慶長の役では肥前国名護屋城本丸広間番衆六番組頭を務めました。平時には秀吉の身辺警護にもあたっていました。

奉行としての活躍

守久は奉行としても検地などに活躍し、1万5000石を拝領、後に4万石まで加増されました。秀吉の死後も秀頼に仕え、七手組頭兼検地（越前）奉行として活躍しました。旗本部隊の中核を担った七手組の一人となります。

大坂の陣

慶長19年（1614年）の方広寺鐘銘問題では、和平交渉に奔走した片桐且元が内通を疑われるようになると、その調停に尽力しました。結局且元は大坂城を退去させられ、その後も続いた豊臣家中の調停に努めました。大坂冬の陣では、鴫野の戦いで上杉景勝の軍勢相手に奮戦しました。大坂夏の陣では天王寺・岡山の戦いで真田信繁らと並んで藤堂高虎を敗走させるなど活躍しましたが、大坂城に退却しました。

千姫救出と殉死

千姫教育係であった守久は、千姫を無事に徳川陣屋に送り届けました。徳川家康に秀頼らの助命を嘆願するものの聞き入れられることはなく、秀頼の自害の介錯（毛利勝永とする説も）を務め、殉死しました。

夏の陣の天王寺・岡山での最終決戦では遊軍として真田信繁隊の殿を勤めています。天守閣が炎上した際には、速水守久が先導して万が一の場合にと打合せられていた山里曲輪の朱三矢倉へ、秀頼・茶々・千姫・大野治長ら側近30名程を誘導しました。千姫を徳川陣屋に送り届けた後、徳川陣屋にて秀忠より褒美として馬具一式、槍、金を下賜されています。

子孫

嫡男・守治は千姫を徳川陣屋に送り届ける際に自ら馬に乗り敵の囮となり戦死しました。弟・伝吉は、守久の忠節を賞されて許されたと言われています。三男・保久、四男・貞久は、夏の陣の3年後、越後国村上藩主・堀直寄に引き取られ、村上城内で元服した後は速水藤右衛門、理右衛門を名乗りました。子の出来丸は、古田織部の子・重広の処刑日と同じ日の慶長20年（1615年）12月27日に、江戸下谷の開禅寺で大野治長の子・弥十郎と共に処刑されました。父・時久の実弟・速水常久は、熊本細川藩家臣となりました。速水氏は細川京兆家の家系であり、越後に移った末裔に実業家・高島嘉右衛門の番頭を務めた速水柳平がおり、現代まで子孫が続いています。

菩提寺は現在大阪和泉市にある願成寺です。

参考文献

桑田忠親『太閤家臣団』（新人物往来社、1971年）

関連項目

七手組
速水氏

外部リンク

速水守久 - 大坂の陣絵巻
* 近江・速水城

もう一度検索