速水春暁斎

速水春暁斎について

速水春暁斎（はやみ しゅんぎょうさい）は、江戸時代後期に活動した京都の浮世絵師および読本作者です。彼は明和4年（1767年）に生まれ、文政6年（1823年）に逝去しました。春暁斎は、岡田玉山または竹原春朝斎の弟子であるとも言われていますが、円山応挙からも画技を学んだとされています。

生い立ちと家族背景

春暁斎は京都に生まれ、姓は速水、名は恒信、後に恒章に改名しました。幼少期の名前は鉄之助で、通称は彦三郎です。彼の家族は日野屋という呉服商を営んでおり、13歳で家督を継ぎましたが、27歳で隠居し、50歳の際に再び家督を引き継ぎました。春暁斎は、室町通四条下ルや両替町通三条上ルの東側に居住し、京都でその生涯を閉じました。

創作活動

春暁斎の作画期は寛政12年（1800年）頃から始まり、文政の時代まで続きました。この期間に多くの絵本や読本、実用書を出版し、またそれらの挿絵を手がけました。彼の作品は地誌や往来物、節用集、教訓書など多岐にわたります。特に、岡田玉山に影響を受けた画風は、彼の特徴の一つとされています。

主な作品

速水春暁斎が手がけた主な作品には次のようなものがあります。

• - 『絵本忠臣蔵』（初編：寛政12年、後編：文化5年） これは、忠臣蔵の物語を題材にした絵本で、人気を集めました。
• - 『絵本武将勲功記』（享和元年） 一般的な武将伝を扱った作品です。
• - 『絵本浅草霊験記』（文化3年） 自画作の形式で、浅草の霊験を描いた十巻の作品です。
• - 『年中行事大成』（文化3年）日本の年間行事を紹介する四巻の書物です。
• - 『絵本金花談』（文化5年） さまざまな花の話をモチーフにした作品です。
• - 『都風俗化粧伝』（文化10年） 当時の女性の化粧風俗を描いた著作です。
• - 『扁額軌範』（初編：文政2年） 彼が編集した作品で、書道のタイトルや称号の見本を紹介しています。

また、彼が手がけた「文読美人図」という作品も、特に評価されています。

死と遺産

春暁斎は56歳で生涯を終えました。彼の墓所は京都市中京区の光徳寺に位置しています。彼の作品は、江戸時代の文化や風俗を今に伝える重要な資料として評価されており、後世の浮世絵師へとその影響を与えました。彼の多才な側面は、絵画だけでなく文筆でも光っており、その業績は今も多くの人々に愛されています。彼の名が刻まれた作品たちは、浮世絵の歴史において特別な位置を占めています。

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