造長岡宮使

造長岡宮使についての詳細

造長岡宮使（ぞうながおかぐうし）は、奈良時代の末期に、長岡宮の造営事業を推進するために一時的に設置された官職です。これは、特定の用途のために設けられた令外官の一つであり、当時の国家事業を円滑に進める役割を果たしました。

この官職の初見は『続日本紀』の記載であり、延暦3年（784年）6月にさかのぼります。この年には、中納言である藤原朝臣種継をはじめ、左大弁の佐伯宿禰今毛人、参議の紀朝臣船守など、合計10名の官人が任命されました。この中には、さらに六位以上の官人が8名存在したことが記録されています。こうした多彩な人材が集まった背景には、大規模な宮殿造営という国の重要課題があったためと考えられています。

また、同年12月には桓武天皇が詔を出し、造宮に貢献した官人たちに対して昇進の恩恵が与えられました。具体的には、正六位上から外従五位下に昇叙された佐伯宿禰葛城や奈良忌寸長野、大神楉田朝臣愛比など、6名の官人がこの官職に関与していた可能性が高いとされています。

さらに、延暦8年（789年）8月にも新たな動きがあったことが記録されています。この年の2月には、新宮殿が完成し、天皇が西宮から東宮に移ったことが知られています。この移遷は、長岡宮造営の成功を示す重要な出来事として位置づけられています。長岡宮は当時、新しい都となるべく着々と工事が進められており、その進展が高く評価されることとなりました。

造長岡宮使は、単に官職の名前に留まらず、奈良時代の政治的状況や宮殿造営の重要性を象徴するものとして歴史的な意義を持っています。また、その道のりには多くの官人が関与し、それぞれが持つ知識や技量を駆使して国家プロジェクトに寄与したことが理解されます。長岡宮の建設は、後の時代に大いに影響を与えることとなり、また、国の歩みにも大きな影響を及ぼしたことでしょう。このように、造長岡宮使は奈良時代の重要な官職の一つであり、当時の日本の歴史を理解する上で欠かせない存在です。

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