連島町西之浦

倉敷市連島町西之浦：歴史と文化が息づく港町

連島町西之浦は、岡山県倉敷市水島地区に位置する、かつて島嶼であった連島山塊の西部に広がる地域です。高梁川の東岸に位置し、対岸には玉島の上成・乙島が望めます。かつては連島町役場が置かれ、連島地域の中枢として発展しました。

歴史

江戸時代初期には西之浦村として記録に残り、当初は赤良村（現在の矢柄）の枝村でした。その後、独立した村となり、宮之浦村を枝村としました。江戸時代には幕府領、後に成羽藩の所領となり、陣屋が現在の倉敷市立連島西浦小学校の場所に置かれました。

干拓が進むと、西高梁川（現在の高梁川）の河口部となり、干潟が形成されました。元禄年間から文政年間にかけ新田開発が行われ、嘉永3年（1850年）には鶴新田干拓が完成し、地形は大きく変化しました。

港町としての繁栄と変遷

島嶼時代から河口部時代にかけて、西之浦は瀬戸内有数の港として栄え、松山など内陸部の物資の集散地として繁栄しました。箆取神社には、当時の海運で財を成した豪商たちにより寄進された回廊が残っており、往時の賑わいを偲ぶことができます。しかし、玉島湊の発展や沖合の干拓により港としての機能は縮小し、水運関係者や漁業者は農業へと転身しました。かつての豪商たちは、新田で生産される綿花やイグサの売買で活躍しました。

明治時代には連島村の中心地となり、現在も明治期の豪商の名残を残す古い町並みが残っています。しかし、町並み保存地域に指定されておらず、地元の保存活動も十分ではありません。今後の町並み保存が課題となっています。

近代以降の発展と現状

明治時代には鶴新田村を合併、その後分村。明治22年（1889年）に村制を施行し、明治36年（1903年）に周辺の村と合併して連島村（のち連島町）となり、役場が西之浦に置かれました。

水島工業地帯の造成に伴い、宅地開発が進み人口が増加しました。特に南西部に川崎製鉄の社宅が建設され、鶴の浦が新設されました。西部には霞丘小学校が設置されましたが、社宅の取り壊しにより児童数は減少し、2022年（令和4年）に閉校しました。

地名

西之浦地区内には、「腕」「弁財天」「ドンドン」など珍しい地名（小字）が存在します。「腕」は源平水島合戦に関連するとも、「弁財天」は弁財天を祀る神社に由来するとも、「ドンドン」は谷川の流れる音に由来するとも言われていますが、定説はありません。

文化

連島の大江出身の詩人・薄田泣菫の詩碑が、地区東部の厄神社境内に建てられています。

産業

かつては酒造、すだれ・アシ加工品、イグサ加工品、綿加工品などが盛んでしたが、現在は衰退傾向にあります。

主な施設

連島公民館
浄水場
倉敷市立連島西浦小学校
倉敷芸術科学大学
連島郵便局
武田病院
晴れの国岡山農業協同組合連島支店
山陽マルナカ連島店
箆取神社

交通

国道429号
国道430号
岡山県道275号藤戸連島線
* 岡山県道428号倉敷西環状線

連島町西之浦は、歴史的な背景と豊かな自然に恵まれた地域です。今後の町並み保存と地域活性化が期待されます。

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