連用形

連用形：日本語文法における活用の一形態

日本語の動詞や形容詞は活用と呼ばれる変化をします。その変化形の一つに「連用形」があります。本稿では、連用形について、その定義、文法的特徴、歴史的背景、そして言語学的な解釈を詳しく解説します。

連用形の定義と歴史

連用形とは、主に他の用言（動詞、形容詞、形容動詞）に続く活用形です。「連用」とは「用言に連なる」という意味で、1833年、東条義門の『和語説略図』で「連用言」として初めて定義されました。

連用形は、動詞、形容詞、形容動詞によって異なる形態を持ちます。動詞では、四段動詞はイ段音、一段動詞と二段動詞はイ段音またはエ段音になります。形容詞は「く」の形、形容動詞は「に」の形を取ることが一般的です。

さらに、連用形は助詞や助動詞との結びつきにおいても重要な役割を果たします。「て」「つつ」「ながら」「き」「けり」などの助詞・助動詞は連用形に接続します。また、これらの助詞・助動詞に先行する語形も連用形として扱われるため、形容詞では「かり」、形容動詞では「なり」、動詞では音便形などが含まれます。

連用形の問題点：動詞と形容詞・形容動詞の機能差

「連用」という名称は、用言が連なるという点では共通していますが、動詞と形容詞・形容動詞の文法的機能には違いがあります。形容詞・形容動詞の連用形は、主に修飾語として後ろの用言を修飾します。一方、動詞の連用形は、複合動詞などにおいて前の動詞と結びつき、文全体における役割が異なります。

さらに、動詞の連用形は名詞化しやすいという特徴があります。「つなぎ」「賭け」「救い」など、そのまま名詞として用いられる例が多く見られます。この名詞化機能が、動詞連用形の本質的な機能であると考えられています。一方、形容詞の連用形は名詞化しにくいですが、「近く」「奥深く」「朝早く」など、時間や空間の程度を表す場合は名詞化することもあります。

言語学からの考察：語幹と語尾、母音交替

言語学的な視点から見ると、連用形は語幹と語尾の組み合わせによって形成されます。動詞は子音語幹動詞と母音語幹動詞に分類されます。子音語幹動詞（四段動詞、ラ変動詞、ナ変動詞）は語幹が子音で終わるのに対し、母音語幹動詞（一段動詞、二段動詞）は母音で終わります。連用形における-i-や-u-は、子音語幹に語尾が結合する際に子音の連続を避けるための挿入音だと考えられます。「書きます」(kak-i-mas-u)の-i-がその例です。四段動詞のウ音便、促音便、撥音便などは、この挿入音が存在しない場合に生じます。

形容詞や形容動詞は、文語において「カリ活用」「ナリ活用」と呼ばれる活用をします。これは語幹と語尾の間に「-ar-（あり）」が挿入されるもので、「あり」は指定や措定の文法的機能を果たします。この「あり」は、単体では存在を表す語ですが、語尾として用いられることで文法的な役割を担う例として重要です。

まとめ

連用形は、一見単純な活用形に見えますが、その歴史、文法的機能、そして言語学的な構造は複雑で奥深いものです。本稿では、その複雑さを解きほぐし、日本語文法における連用形の重要性を改めて示しました。動詞、形容詞、形容動詞それぞれの連用形の特性を理解することで、より深く日本語の構造を理解できるでしょう。

もう一度検索