逮捕許諾請求

逮捕許諾請求についての詳細

逮捕許諾請求とは、国会議員が国会の会期中に逮捕されるにあたり、国会の許可を求める手続きのことを指します。このプロセスは、日本における国会議員の不逮捕特権に基づいており、一般的には、現行犯以外の事案で逮捕される際には、所属する議院の同意が必要となります。

国会における不逮捕特権

日本国憲法第50条及び国会法第33条、第34条により、国会議員は通常の犯罪に対しても特定の保護を受けています。この特権により、国会の会期中に議員を逮捕する場合、内閣は司法官憲が発布した逮捕状を議院に提出し、許諾を求めなければなりません。

内閣が逮捕許諾請求をすると、議院運営委員会が秘密会を設け、法務大臣や刑事局長から捜査状況などを聴取し、その後、各派が態度を表明し、最終的に本会議で採決される流れになります。これにより、逮捕が許可されると、国会議員は逮捕されることになります。

過去の事例とその背景

日本の政治史において、逮捕許諾請求のプロセスを通じて議決されたことは数回あります。特に1980年代から1990年代頃には、議員が関わる疑獄事件において、許諾請求なしで在宅起訴や国会閉会後の逮捕が一般的でした。これは、逮捕許諾請求を行う際、議院運営委員会で捜査状況を詳細に説明する必要があるため、政治的な介入のリスクを避けたいという司法当局の姿勢から来ていると考えられています。

1994年3月のゼネコン汚職事件では、議員が東京地検特捜部による任意取調を拒否したため、逮捕許諾請求が行われました。

許諾の条件と期限

逮捕の許諾には、条件や期限を設定できるか否かに関して、法学者の間で意見が分かれています。衆議院で許諾に期限を設けた例もありますが、東京地裁はその期限を無効とし、逮捕許諾者には無条件での逮捕が求められるとの決定を下しました。

統計データ

逮捕許諾を求める案件について、議院運営委員会で議決された例は20件、本会議で採決された例は18件あり、その中で実際に許諾が与えられたのは16件です。このように、逮捕許諾請求は単なる手続きではなく、国会議員の身分と権利に深く関わる重要な制度です。

関連する制度

逮捕許諾請求は、汚職や問責決議、除名、辞職勧告決議など、国会の運営や国会議員の公職に関連する様々な制度と密接に関係しています。これらの制度は、国会内での議論や決定に影響を与える要因となります。

このように、逮捕許諾請求は、日本の立法機関である国会において特に重要な法的手続きであり、国会議員の権利や義務、そして司法との関係性を理解するために欠かせない制度です。

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