遊行上人

遊行上人（ゆぎょうしょうにん）とは、時宗における指導者に対する敬称です。特に、時宗の開祖である一遍上人、そしてその弟子であり遊行派の始祖である他阿上人を指すことが多いです。

二代目の他阿上人以降、代々の遊行上人は「他阿（他阿弥陀仏）」の名を受け継いでいます。この「他阿」の名は、時宗の総本山である清浄光寺（しょうじょうこうじ）の法主が継承します。清浄光寺は一般に遊行寺（ゆぎょうじ）とも呼ばれます。また、清浄光寺の法主は藤沢上人（ふじさわしょうにん）とも呼ばれることがありますが、本来は隠居した遊行上人を指す言葉です。そのため、遊行上人とならなかった藤沢上人も存在します。

梅谷繁樹氏の研究によれば、代々の遊行上人および藤沢上人が名乗っていたのは本来「他阿弥陀仏」のみであり、「真教」や「尊観」といった道号を用いるようになったのは近世以降ではないかと考えられています。さらに、これらの道号は江戸時代前期、42代目の上人である他阿尊任（たあそんにん）の頃に整備され、以降の上人も道号を名乗るようになったのではないかと推測されています。

著名な遊行上人

一遍 - 初代遊行上人
他阿 - 二代遊行上人
他阿智得 - 三代遊行上人
呑海 - 四代遊行上人。清浄光寺（遊行寺）を開基しました。
他阿一鎮 - 六代遊行上人。迎称寺（こうしょうじ）（京都市左京区）を開基したとも伝えられています。
他阿託何 - 七代遊行上人
尊観法親王 - 12代遊行上人
他阿一雲 -73代遊行上人
他阿真円 - 当代である74代遊行上人であり、57世藤沢上人でもあります。

参考文献

梅谷繁樹「時宗遊行(藤沢)上人の道号について」『印度學佛教學研究』第35巻第1号、日本印度学仏教学会、1986-1987、243-248頁。
遊行上人 - コトバンク
遊行寺縁起 - 時宗総本山 遊行寺

外部リンク

* 『藤沢市史資料 第38集』 遊行・藤沢両御歴代系譜 p.96-137 藤沢市教育委員会、1994年刊（国立国会図書館デジタルコレクション）

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