運命の瞬間/そしてエイズは蔓延した

映画『運命の瞬間/そしてエイズは蔓延した』について

1993年に製作されたテレビ映画『運命の瞬間/そしてエイズは蔓延した』（原題：And the Band Played On）は、ロジャー・スポティスウッドが監督を務めた作品です。ピューリッツァー賞を受賞したランディー・シルツのノンフィクション『And the Band Played On: Politics, People, and the AIDS Epidemic』を原作としており、エイズ（後天性免疫不全症候群）の流行初期における科学者たちの苦闘を描いています。主演はマシュー・モディーンが務めています。

ストーリー

物語は、1976年のザイール（現在のコンゴ民主共和国）から始まります。アメリカの疫学者ドン・フランシスは、エボラ川近くの村で未知の感染症の流行に遭遇します。この感染症は後にエボラ出血熱と判明しますが、フランシスはこの経験から、感染症の脅威を強く認識します。

1981年、アメリカに戻ったフランシスは、ロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコなどの都市で、ゲイの男性を中心に原因不明の病気による死者が増加していることに気づき、調査を開始します。資金も設備も不足する中、フランシスは政治家、医学者、ゲイの活動家など、様々な立場の人々と接触し、この謎の病気の原因究明に奔走します。

ゲイコミュニティにおける感染拡大の深刻さを認識したフランシスは、ゲイが集まる浴場の閉鎖を提案しますが、これはゲイの人々からの強い反発を招きます。その中で、ゲイであるクラウスは、フランシスの主張を支持します。しかし、クラウス自身も感染し、足に肉腫ができるという悲劇に見舞われます。フランシスは、この病気がウイルスによる性感染症であり、血液を介しても感染することを突き止めます。しかし、製薬会社の思惑や社会的な偏見から、彼の発見はなかなか受け入れられません。その間にも、死者は急速に増加していきます。

この映画は、エイズという未知の感染症に立ち向かう人々の姿を通して、科学的真実を追求する姿勢、社会的な偏見や無理解の恐ろしさ、そして、命の尊さを描いています。また、登場人物たちの葛藤や苦悩を通して、人間の弱さや強さを浮き彫りにしています。

キャスト

主要キャストは以下の通りです。

ドン・フランシス：マシュー・モディーン（日本語吹替：堀秀行）
ジム・カラン：ソウル・ルビネック（日本語吹替：若本規夫）
メアリー・ガイナン：グレン・ヘドリー
ハロルド・ジャフィ：チャールズ・マーティン・スミス（日本語吹替：田原アルノ）
ウィリアム・W・ダロー：リチャード・メイサー（日本語吹替：島香裕）
デイル・ローレンス：クリスチャン・クレメンソン（日本語吹替：稲葉実）
セルマ・ドリッツ：リリー・トムリン
ロバート・ギャロ：アラン・アルダ（日本語吹替：小島敏彦）
リュック・モンタニエ：パトリック・ボーショー（日本語吹替：糸博）
フランソワーズ・バレ＝シヌシ：ナタリー・バイ
マックス・エセックス：ピーター・マクロビー
ビル・クラウス：イアン・マッケラン
マーク・コナント：リチャード・ジェンキンス（日本語吹替：岸野一彦）
キコ・ゴヴァンテス：B・D・ウォン
ボビー・キャンベル：ドナル・ローグ
エディ・パパザノ：フィル・コリンズ（日本語吹替：沢木郁也）
その他、リチャード・ギア、スティーヴ・マーティン、アンジェリカ・ヒューストンなど、多くの著名俳優がカメオ出演しています。

関連情報

この映画は、エイズの初期における混乱と、それに対する社会の反応をリアルに描いています。特に、ゲイコミュニティへの偏見や、患者に対する差別的な態度が描かれている点は、現代においても重要な教訓となります。また、エイズ研究における科学者たちの功績と苦労を理解する上で、貴重な資料ともなっています。

関連項目

後天性免疫不全症候群（エイズ）: この映画のテーマである感染症について。
ゼロ・ペイシェンス: 1993年のミュージカル映画で、本作とは対照的に患者0号の名誉回復やマスコミ批判をテーマにしています。
ペイシェント・ゼロ: エイズの感染拡大における最初の感染者。

外部リンク

運命の瞬間（とき）／そしてエイズは蔓延した - allcinema
And the Band Played On - オールムービー（英語）
* And the Band Played On - IMDb（英語）

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