運輸政策審議会答申第7号

運輸政策審議会答申第7号について

概要

1985年に運輸政策審議会が発表した答申第7号は、東京圏での交通網整備に関する基本計画をまとめた重要な文書です。この答申は、特に高速鉄道の整備に重きを置き、2000年を目標年次として、東京圏の鉄道路線の整備計画を策定しました。今日、この計画がどのように運用され、進展したかを知ることは、交通インフラの発展を理解する上で非常に重要です。

交通問題の背景

高度経済成長期の東京圏では、人口が急増し、それに伴う交通問題が深刻化しました。具体的には、通勤混雑や交通渋滞が日常生活に大きな影響を与え、交通インフラの整備が急務とされるようになったのです。これに応える形で、旧都市交通審議会が提示した過去の答申に基づき、鉄道整備は進められていました。

しかし、1972年の答申時点での人口予測は実際の動きとは異なり、特に千葉県北西部や埼玉県東部の通勤混雑度が増したため、交通インフラの再考が必要になりました。新宿・渋谷・池袋などの副都心の成長も影響を与え、業務エリアが分散化されていきました。これに対し、運輸政策審議会は、交通網の整備に新たな視点を取り入れることを求められるようになったのです。

答申内容

運輸政策審議会は1982年に政府から相談を受けて以来、答申第7号を1985年にまとめました。内容は東京都心から半径50キロのエリアを対象に、特に混雑の著しい路線の新線建設・複々線化を提案しました。他にも空港アクセスの改善や副都心機能の強化を視野に入れた路線整備を行うことが求められました。

答申で提案された29路線の整備計画は、総延長532キロメートルに及び、年間220パーセントだった混雑率が2000年には180パーセント未満に改善される見込みを立てていました。

主な整備路線

答申の中で特に注目された路線には、以下のようなものがあります。

• - 常磐新線: 2005年に首都圏新都市鉄道つくばエクスプレスが開業し、東京と筑波研究学園都市のアクセスが向上しました。
• - 日暮里・舎人線: 東京都交通局が2008年に開業した新交通システム路線で、地域の交通アクセスを改善しました。
• - 埼京線: 大宮から宮原への延伸は計画されつつも、用地買収に難航し、実現には至りませんでした。
• - 東京メトロ副都心線: 2008年に開業し、さらなる都心へのアクセスを確立しました。

他にも、多くの交通路線が計画され、一部は実際に運行が開始されました。特に、千葉ニュータウン・成田空港線や京急空港線など、空港アクセス向上に寄与した路線は、重要な役割を果たしました。

現在の状況

2000年時点で、答申に基づく整備計画の約44％が営業を開始し、31％が整備中であったことが報告されています。混雑率も改善されたものの、目標には達しませんでしたが、この答申以降に整備された新たな路線も多く、東京圏の交通インフラの発展に寄与したのは明らかです。

この答申は、東京圏の未来の交通網の基盤を築く重要なステップとなったと言えるでしょう。今後も、交通インフラのさらなる整備が期待されています。

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