過速度検知装置

過速度検知装置（OSR）

過速度検知装置、通称OSRは、列車の速度が制限を超えたことを感知し、警報を鳴らしたり、非常ブレーキを作動させたりするための装置です。この技術は、特に急勾配区間での安全な運行を確保するために重要な役割を果たしています。以下にその詳細を説明します。

OSRの概要

信越本線の横川 - 軽井沢間に存在する碓氷峠は、最大で66.7‰の厳しい勾配があります。このため、上り線の旅客列車には38km/h、貨物列車には25km/hの速度制限が設けられています。これらの制限速度を超えた場合、列車の安全な停止が極めて難しいとされています。この危険な状況に対応するため、OSRは設計されたのです。

OSRは、制限速度よりも若干低い速度、具体的には旅客列車の場合35km/h、その他の列車は22km/hに達した際に警報が発動し、さらに制限速度を超えた場合には非常ブレーキが自動で作動します。これにより、安全な停止を確保することが可能となります。

装置の背景と適用

特にこの装置は、国鉄EF63形電気機関車に搭載されており、急勾配に適した多くの安全装置が備えられています。EF63形では、動輪が空転しても正確な速度を検知できるよう、遊輪と呼ばれるフランジのない車輪が中間台車の二輪の間に取り付けられています。これにより、制限速度を超過した場合のリスクが大幅に軽減されました。

また、国鉄では1968年に、交流電化を導入した奥羽本線福島 - 米沢間にある板谷峠にもOSRが導入されました。この地域では、速度制限が旅客列車で70km/h、貨物列車では41km/hに設定されています。ED78形電気機関車は非動軸である中間台車から速度を検知する方式、EF71形電気機関車では動軸で計測するという異なるアプローチを採用しています。

ED90形電気機関車とOSR

さらに、1990年に大井川鐵道井川線で新たなアプト式の採用に伴い、製造されたED90形電気機関車にもOSRが装備されました。この機関車は最大90‰の急勾配に対応しており、速度制限は19km/hとされています。アプト式の特性から速度測定が非常に正確に行えるため、遊輪の設置は省略されています。

まとめ

過速度検知装置（OSR）は、列車の運行において非常に重要な安全装置です。特に急勾配の地域での運転においては、その機能によって多くの事故を未然に防いでいます。今後もこの技術が進化し、さらなる安全性向上に寄与することが期待されています。

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