道の駅利賀

富山県南砺市利賀村に位置する道の駅利賀は、地域の公共施設である南砺市利賀市民センターと一体となった新しい形の休憩施設です。国道471号に面しており、自然豊かな利賀村への玄関口として、また地域住民の交流拠点として機能しています。

道の駅利賀の歴史は、富山県が1989年に始めた「みどりの一里塚」整備事業にさかのぼります。この事業は、道路利用者にトイレ付きの休憩場所を提供するもので、全国で8か所、富山県内では唯一この利賀の地に選ばれました。翌1990年7月26日に整備が完了し、当時の利賀村はこれを基盤として、1991年に木造2階建ての「利賀みどりの一里塚サービスステーション」（旧施設）を開設しました。開業当初から、飲食・物販を提供する「いっぷく茶屋」も併設され、地域住民や観光客に親しまれてきました。旧施設には、駐車場やトイレのほか、レストラン、売店、観光案内所、さらには地元ゆかりの芸術家である泉椿魚氏の作品展示コーナーなども設けられていました。

しかし、2019年4月1日には、施設の指定管理者が事業継続を断念したことから、「いっぷく茶屋」や観光案内所が営業を休止することとなりました。その後、利賀ダム建設に伴い整備される工事用道路を転用する利賀バイパスの開通を見据え、施設の移転改修計画が進行します。そして、改修が完了した利賀市民センター内に道の駅機能を移転することとなり、2022年4月5日に新たな道の駅としてオープンしました。

現在の道の駅施設は、利賀市民センターの建物内に配置されています。主要な設備としては、利用者が24時間利用可能な駐車場とトイレが完備されています。特にトイレについては、移転時に庁舎内のスペースにおむつ交換台が新設され、利用者の利便性が向上しました。駐車場の収容台数については、公式ウェブサイト上にはまだ反映されておらず、雑誌などの刊行物によって24台や25台といった異なる表記が見られる状況です。

道の駅の主要機能の一つである店舗については、移転後、当初は利賀市民センター内にあったJAとなみ野利賀支店が運営する売店がありましたが、この支店が2024年1月27日に井波中央支店へ機能移管し、閉店となりました。JA支店自体はその後、書類取次などを行う「利賀ふれあいセンター」として運営されています。これに伴い、道の駅の店舗機能は地元の南砺市利賀地域づくり協議会が引き継ぎ、新たにカフェスペースも設けて、2024年2月9日から「売店&利賀の山カフェ」として営業を開始し、現在に至ります。ここでは、地元の特産品や軽食、飲み物などを提供しており、利用者の休憩や交流の場となっています。

なお、移転前の旧施設（南砺市利賀村高沼下北山43番地7に所在）については、2025年4月からの2年間、利賀ダムの工事を担う建設会社に貸し付けられ、作業員の休憩所として活用される計画です。ただし、この期間中も、旧施設の一部スペースでは利賀地域の観光情報が継続して発信される見込みです。

新しい道の駅利賀（南砺市利賀村171番地、利賀市民センター内）へのアクセスは、登録路線である国道471号を利用するのが一般的です。高速道路を利用する場合、北陸自動車道砺波インターチェンジからは約30分ほどで到着します。公共交通機関を利用する場合は、南砺市が運行するコミュニティバス「なんバス」が便利です。特に、JR西日本高山本線の越中八尾駅から運行する「利賀八尾線」や、井波・南砺市民病院方面から運行する「利賀井波線」を利用し、「利賀市民センター」バス停で下車すれば、道の駅の目の前まで来ることができます。これらのバスは、年末年始の特定期間（1月1日から1月3日）を除き、毎日運行しています。

道の駅の周辺には、清らかな流れを見せる利賀川があり、四季折々の自然を感じられる環境に恵まれています。利賀村の豊かな自然や文化に触れる旅の拠点として、道の駅利賀は重要な役割を果たしています。

もう一度検索