道の駅山中温泉 ゆけむり健康村

道の駅山中温泉 ゆけむり健康村

概要と成り立ち

石川県加賀市、風光明媚な山中温泉郷のほど近く、国道364号沿いに位置する「道の駅山中温泉 ゆけむり健康村」は、かつては地域住民や観光客の健康増進・交流拠点として機能していた大規模複合施設の一部を構成していました。その起源は、1990年12月27日に開業した温泉施設「ゆーゆー館」に遡ります。その後、山中町（当時）がこの施設の周辺を整備し、休憩機能や情報発信機能を備えた施設として、2005年3月31日に道の駅として正式に登録・開業しました。この道の駅は、「ゆーゆー館」を中心とした温浴・プール施設、多目的ホールの「すこやかホール」、テニスコートといった複数の施設からなる「山中温泉ゆけむり健康村」の一部として一体的に運営されていました。

運営上の課題と休業へ

道の駅開業当初は多くの利用者が訪れ賑わいを見せていましたが、時代の流れとともに状況は変化しました。近隣エリアにおける類似施設の増加や、人々のレジャーに対するニーズの多様化が進んだことにより、利用者は徐々に減少。さらに、施設の経年劣化による維持管理費の増加や、世界的なパンデミックである新型コロナウイルスの影響が重なり、経営状況は悪化の一途をたどりました。加賀市にとって年間約1億円にも及ぶ維持負担は大きな財政的圧力となり、施設の継続的な運営は困難な状況に陥りました。これらの要因が複合的に作用した結果、「山中温泉ゆけむり健康村」全体は、誠に遺憾ながら2023年4月1日をもって休業することを決定しました。現在に至るまで、施設は閉鎖された状態が続いています。

施設の再生に向けた動き

休業後、施設の有効活用と再生を目指し、加賀市は公募型プロポーザルを実施しました。2023年8月には、このプロポーザルにおいて交渉権者に選定されたリナシェンテ社（金沢市）が、施設の再生に向けた企画提案書を公表しました。この提案によると、現在の温水プールやテニスコートといった一部の施設機能は廃止される見込みです。その一方で、施設の中核であった温浴機能や、道の駅としての休憩・情報発信機能は存続・維持される方向で検討されています。さらに、新たな魅力としてグランピング施設を整備する計画も盛り込まれており、今後の施設は時代のニーズに合わせた新たな形態へと生まれ変わることが期待されています。具体的な再開時期やサービス内容は、今後の協議や整備の進捗によって明らかになるでしょう。

かつての施設構成と保存車両

道の駅として機能していた頃は、広大な敷地内に多様な施設を備えていました。駐車場は普通車114台、大型車4台、身障者用3台分が用意されており、トイレは一部が24時間利用可能でした。道の駅の駅舎部分は「今はやまなか」と名付けられた物産館となっており、地元の特産品などを購入することができました（現在は休業中）。複合施設として一体運営されていた時期には、「ゆーゆー館」での温泉浴や温水プールでの遊泳、フィットネスジム「FITNESS YOU」でのトレーニング、「すこやかホール」やテニスコートの利用も可能でした。これらの施設は、前述の通り現在は全て休業中です。

特筆すべき点として、駅舎「今はやまなか」の横には、かつて大聖寺駅と山中温泉間を結んでいた北陸鉄道加南線（山中線）で使用されていた6010系電車「しらさぎ」が静態保存されています。この車両は、1971年の加南線廃止後に静岡県の大井川鐵道に譲渡されていましたが、2005年に山中温泉への「里帰り」が実現しました。同年8月14日に現在の場所へ移設され、展示されています。かつては道の駅の営業時間内に車内を見学することも可能でした（現状は休業に伴い見学できるかは不明）。

アクセスと周辺

道の駅は国道364号に面しており、石川県道39号山中伊切線も近接しています。周辺は加賀市が誇る名湯、山中温泉郷の中心地に近く、風光明媚な大聖寺川沿いには美しいこおろぎ橋や、鶴仙渓といった著名な観光スポットが点在しています。また、古木として知られる栢野大杉へも比較的近い位置にあります。道の駅は、これらの山中温泉周辺観光の拠点としても機能していました。

管理主体

この道の駅および複合施設「山中温泉ゆけむり健康村」は、加賀市が設置者として管理を担っています。

もう一度検索