道員

道員とは

道員（どういん）は、中国の明代と清代における地方官職の一つで、満洲語では ᡩᠣᠣᠯᡳᡥᠠᡶᠠᠨ（dooli hafan）と表記されます。この役職は、道尹や道台、道憲、さらには観察使、廉使、廉車といった様々な名称でも知られています。道員の主な任務は、通例として省と府の中間に位置し、道役所のトップとしての役割を担うことです。

専任官職と副官職

道員の中には、「鹽運道員」など特定の業務に専念する役職も存在しました。また、布政使や按察使の副官としても道員が任命されており、前者の場合は「守道」との役名で呼ばれ、後者の場合には「巡道」と呼ばれました。

地位とその変遷

清の乾隆十八年には、道員の地位が正四品とされ、さらには異なる肩書を付与することで、位階を上げることも可能でした。たとえば、台湾兵備道は、按察使の役職を兼ねることで正三品に昇格されました。この年には、全国において道員はおおよそ八十名存在しました。

さらに、嘉慶4年に道員には密折奏事（上封事）を行う権限が付与されました。この権限を有する文官の中では、道員が最も低い品級という位置付けでした。これにより、道員の職務はより影響力を持つものとなり、地方における統治の一端を担うこととなったのです。

近代化と道員の変革

民国元年（1912年）、清の宣統帝の退位に伴い中華民国が成立すると、道員は観察使と改称されました。さらに、民国3年（1914年）には北洋政府によって道尹という新しい名称に変更されました。さらに、民国17年（1928年）には、国民党の北伐が行われるとともに「道」という区分は廃止され、新たに「行政督察区」が設置されました。この新しい制度下では、行政の監督機関として「行政督察專員公署」が構成され、行政長官は「行政督察專員」（略して「行署專員」）と呼ばれるようになりました。

結論

道員は、中国の歴史において重要な地方官職の一つであり、その変遷は時代の流れを反映しています。地方行政の重要な役割を果たし、さまざまな名称や役職の変化を経た道員は、明代・清代から民国初期にかけての国家運営に欠かせない存在であったと言えるでしょう。

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