道宗 (遼)

道宗（どうそう）：遼を衰退させた皇帝

道宗（1032年 - 1101年）は、遼（契丹）の第8代皇帝であり、名は査剌（しゃら）です。47年という長きにわたる治世は、遼を全盛期から衰退期へと転落させた時代として評価されています。

生涯

道宗は、第7代皇帝である興宗の長男として生まれました。早くから皇太子に定められ、政治に関与しました。1055年、父である興宗の崩御を受けて皇帝に即位します。

即位当初は、「直言を求め、治道を訪ねる」という姿勢を掲げ、農業の振興、学校の建設、救済活動などに尽力しました。しかし、次第に遊猟や仏教に深く傾倒するようになります。寺院の建立や僧侶への寄進に多額の国費を費やし、仏教勢力の拡大を招きました。

政治を顧みなくなった道宗は、耶律乙辛（やりつおつしん）という奸臣の専横を許してしまいます。耶律乙辛は皇太子であった耶律耶魯斡（やりつやるお）を妬み、陥れようと画策しました。1075年、耶律乙辛は皇太子の生母である懿徳皇后（蕭観音）を道宗に讒言し、皇后は自害に追い込まれます。さらに、皇太子をも無実の罪で幽閉し、暗殺してしまいました。

しかし、道宗には皇子が耶律耶魯斡しかいなかったため、年老いた道宗は皇太子を恋しく思うようになり、その子の阿果（天祚帝）を皇太孫に立てました。道宗は徐々に耶律乙辛の陰謀に気づき、不安を感じた耶律乙辛は1081年に皇太孫を害そうとしましたが失敗、1083年に兵器を隠して宋へ亡命しようとしたところを誅殺されました。

1101年、道宗は70歳で崩御しました。遺詔により、皇太孫の阿果（天祚帝）が後を継ぎました。

評価

道宗の治世は、皇帝の暗愚と奸臣の専権によって、忠臣が迫害され、朝廷内の対立が絶えない時代でした。土地の兼併が進み、民衆の不満が高まり、特に圧迫を受けていた東北地方の女真族が反乱を起こしました。この女真族の反乱は、道宗の死後25年目に遼を滅ぼすことになります。

道宗の治世は、遼を衰退へと導いた時代として、『遼史』においても手厳しい評価が下されています。

宗室

后妃
宣懿蕭皇后（蕭観音、仁懿皇后の従妹）
蕭恵妃
子
耶律耶魯斡（梁王、順宗、章懐太子）
女
耶律撒葛只（魏国公主）
耶律糺里（趙国公主） - 兄を謀殺した耶律乙辛を誅殺。
* 耶律特里（梁宋国大長公主）

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