道法法親王

道法法親王（どうほうほっしんのう）は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて生きた皇族・僧侶です。仁安元年（1166年）に後白河天皇の第九皇子として誕生し、母は仁操の娘である三条局です。幼名は尊性、後高野御室とも呼ばれました。

生涯

承安4年（1174年）、道法法親王は仁和寺に入り、異母兄である守覚法親王の室に入ります。しかし、安元2年（1176年）には、平時忠によって内裏に密かに召され、高倉天皇の猶子となりました。この背景には、高倉天皇の母である建春門院の崩御後、天皇の皇位継承者が不在となる可能性が生じたため、後白河法皇が道法法親王を皇位継承候補の一人として確保しようとした意図があったと考えられています。しかし、この措置は平家一門の不信感を買うことにも繋がりました。

その後、高倉天皇に言仁親王（後の安徳天皇）が誕生したため、道法法親王の皇位継承の可能性は薄れ、治承3年（1179年）に正式に出家しました。寿永3年（1184年）には高野山に参籠し、同年、仁和寺観音院において守覚法親王から伝法灌頂を受け、一身阿闍梨となります。

文治元年（1185年）に親王宣下を受け、六勝寺検校に任ぜられ、建久6年（1195年）には二品親王となりました。建久9年（1198年）には仁和寺寺務に就任し、第7世門跡となっています。建仁元年（1201年）には牛車宣旨を受け、建仁3年（1203年）には仁和寺内に綱所の設置を認められ、惣法務となりました。また、建仁3年（1203年）には最勝光院、承元2年（1208年）には最勝四天王院の検校に任じられています。

道法法親王は、建久年間以来、宮中で真言の秘法を40回以上行い、元久2年（1205年）には宣陽門院と七条院の両女院の出家に際して戒師を務めました。また、公深、道寛、道雲、能寛、行遍、道忠、道助、禅覚など、多くの弟子を育成しました。

建保2年11月21日（1214年12月23日）、道法法親王は50歳でこの世を去りました。

人物・業績

道法法親王は、皇族でありながら仏道に深く帰依し、真言密教の中心的役割を担いました。仁和寺の門跡として寺院の運営に尽力する一方で、多くの弟子を育成し、後世に大きな影響を与えました。また、宮中での真言秘法の儀式を数多く行うなど、朝廷との関係も深く、文化的な貢献も果たした人物として知られています。

参考文献
田中徳定「後白河天皇」志村有弘 編『天皇皇族歴史伝説大事典』（勉誠出版、2008年） ISBN 978-4-585-06063-5 P495.
竹居明男「道法法親王」『平安時代史事典』（角川書店、1994年） ISBN 978-4-04-031700-7 P1741.

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