雲笈七籤

『雲笈七籤』（うんきゅうしちせん）は、中国の北宋時代に編纂された道教に関する類書であり、その成立は1017年から1021年にかけて行われました。この書の撰者は張君房であり、当初は120巻で構成されていましたが、現行の版本では122巻に増えています。

本書の題名にある「雲笈」は、道教の文献としての特性を示すもので、具体的には道教の経典や文献を編纂した書套を指します。また、「七籤」という名称は、道教における「三洞四輔」の分類に基づき、道教の主要な文献の精華を集めたことを表しています。したがって、『雲笈七籤』は、道教全般に関する内容を網羅しており、そのために「小道蔵」とも呼ばれています。この書は、北宋以前の道教にかんする珍しい資料を多く収集しており、読者には宋以前の道教の全体像を理解するための貴重な情報源となります。

『雲笈七籤』の成立は、宋の真宗が1010年に宰相の王欽若に道教経典の校訂を命じたことに端を発します。この事業は1016年に一度完了しましたが、内容や構成に問題があったため、再度張君房に命じられ、江南地方の余杭郡で編纂が行われました。最終的に、1019年に整理が完了し、真宗に提出された際には『大宋天宮宝蔵』という題名が賜られました。

仁宗の治世に入ってから、本書は『大宋天宮宝蔵』の内容が抄出されて献上されました。現在、『大宋天宮宝蔵』は散逸してしまったため、『雲笈七籤』は宋代以前の道教の典籍について知るための貴重な資料としての価値を持っています。

この書は、道教の理論や実践に関するさまざまな側面を考察するための基礎的な文献であり、道教の信仰や思想を掘り下げる上で欠かせないものとなっています。特に、古代中国における道教の発展や、その社会的背景を理解するための重要な視点を提供します。

参考文献としては、中嶋隆蔵著の『雲笈七籤の基礎的研究』（研文出版、2004年、ISBN 4876362386）があり、この文献は本書の体系的な理解を深めるために役立つ資料となるでしょう。

道教に興味がある人々にとって、『雲笈七籤』は非常に意義深い文献であり、古典的な道教思想の理解を深める手助けをするでしょう。

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