遠山景久

遠山景久：ラジオ日本を改革した異色の経営者

遠山景久（1918年 - 1999年）は、アール・エフ・ラジオ日本（RF）の社長、会長を務めた日本の実業家です。その経営手腕は賛否両論あり、毀誉褒貶が激しい人物として知られています。

生い立ちと初期の活動

遠山は、東京府東京市神田区（現在の東京都千代田区神田）で、「遠山の金さん」こと遠山景元の末裔として生まれました。幼少期に父親と死別し、長兄が判事を務める台湾で育ちます。旧制中学卒業後は、共産主義運動に関わった次兄や、愚連隊に身を投じた三兄とは対照的に、中央大学経済学部に進学。卒業後、陸軍士官候補生を経て従軍しました。

敗戦後は、軍のトラックを横領して運送会社を設立し成功を収めます。一時左翼思想に共鳴し、野坂参三の歓迎大会で演説を行ったこともありました。また、銀座でレストラン「アラスカ」を開業しますが、GHQの飲食店事業禁止令により、反対運動を展開するも頓挫しました。

右翼・反共活動への転向とラジオ関東（現RFラジオ日本）

1956年、ニキータ・フルシチョフのスターリン批判とハンガリー動乱を機に、遠山は右翼・反共活動に転向します。出版社『論争社』を経営し、政治評論家としても活動しました。

1967年、ラジオ関東（現RFラジオ日本）に入社し、副社長に就任。同年12月には社長に就任します。読売新聞との提携を機に、1981年に社名をアール・エフ・ラジオ日本と改名し、送信所の出力も増力させました。

RFラジオ日本社長・会長時代

遠山はRFラジオ日本の社長として、大胆な改革を推し進めます。「社会の木鐸」を標榜し、左派系マスコミの糾弾キャンペーンを展開。ロックやアイドルタレントを番組から排除し、反共・タカ派的な報道・論説番組を中心とした編成に変貌させました。演歌やジャズを流す時間が増え、若者向けの番組は減少し、聴取率の低下を招きました。

また、アナウンサーをキーパンチャーに転属させたり、管理職の研修を自衛隊で行うなど、労使関係は悪化。多くの社員が退職しました。

1987年に社長を退任し会長となりますが、院政を敷き、経営への影響力を行使し続けました。しかし、1993年にはその強引な経営が問題視され、取締役会で解任されます。その後、RFから損害賠償を請求され、自宅を差し押さえられるなど、晩年は不遇でした。

その他の活動と晩年

遠山は、ラジオ番組『日本の顔 日本のビジョン』でインタビュアーを務め、政治家と対談しました。また、『新党待望論』『思想は発展する』など、多数の著書を出版しています。

晩年はC型肝炎で闘病生活を送り、1999年に老衰と肺炎により死去しました。

評価

遠山景久は、その強烈な個性と独自の経営哲学で、アール・エフ・ラジオ日本を大きく変えた人物です。右翼・反共の立場から、既存のマスメディアを批判し、独自の番組編成を打ち出しました。しかし、その手法は多くの批判を浴び、毀誉褒貶が分かれる存在です。

遠山の功績を評価する声がある一方で、その強引な経営手法や偏った思想を批判する声も少なくありません。彼が残した足跡は、日本のラジオ史において特筆すべきものとして、今後も議論の対象となるでしょう。

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