C型肝炎

C型肝炎について

C型肝炎は、C型肝炎ウイルス（HCV）によって引き起こされる肝炎の一種です。かつては非A非B型肝炎や血清肝炎と呼ばれていましたが、現在ではC型肝炎として知られています。

疫学

日本では約200万人がHCVに感染していると推定されており、世界全体では約1億7千万人にのぼると言われています。特に日本では、インターフェロン治療が効きにくい1b型ウイルスが70-85%を占めています。アメリカでは1945～1965年生まれの成人にC型肝炎のスクリーニングが推奨されています。

感染経路

HCVの主な感染途径は血液ですが、過去には輸血による感染が一般的でした。現在では、注射器の使い回しや針刺し事故、ピアスやタトゥー施術に伴う感染が多く見られます。偶発的な傷を介した感染もあり、性行為による感染は稀です。しかし、感染者と継続的な接触がある場合にはリスクが高まることがあります。

病態

初期感染

感染の初期段階では、症状がほとんど現れないことが多いですが、発熱や全身倦怠感、食欲不振といった症状が現れる場合もあります。約30%の人々が急性肝炎の症状を示すことが知られています。これに伴い、血液検査では肝機能の異常を示すことがあります。

持続感染

初期感染を経て、ウイルスが排除されずに持続感染に移行するケースが約70%です。持続感染の状態が続くと、慢性肝炎に進行することがあります。

慢性肝炎

慢性肝炎の段階では、ALT値が正常に戻らず上昇しることが多く、数年から十数年の経過を経て肝硬変や肝細胞癌になるリスクが高まります。肝硬変に至ると、腹水や黄疸などの症状が出現することがあります。

検査

C型肝炎の診断は、感染の履歴を問診で確認し、血液検査を通じて行われます。HCV抗体およびRNA検査が主に用いられます。その結果に基づいて、肝機能や肝障害の状態を評価することが大切です。

治療

C型肝炎には有効なワクチンがないため、治療の主目的はウイルスの排除です。抗ウイルス療法は、以前はインターフェロン治療が主流でしたが、現在では直接作用型抗ウイルス薬（DAA）が広く用いられ、高い治療効果を示しています。この治療は高額ですが、日本では公的な医療負担制度も存在します。

新たに開発されたDAAの中には、さまざまな遺伝子型に対応した治療薬が含まれており、効果的かつ短期間で治療が可能です。これらの治療法によって、ウイルスが除去されると「持続的ウイルス学的応答」と呼ばれる状態に達します。

予防

C型肝炎を予防するためには、感染者の体液や血液を適切に処理することが重要です。また、針刺し事故や不適切な血液製品の使用を避けるためにも、注意が必要です。医療機関では安全対策が徹底されていますが、個々の感染防止に対する意識の向上も不可欠です。

全国的にその認知度を向上させる活動も効果的で、早期発見と治療が質の良い生活を支える要素となっています。

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