遠山静雄

遠山静雄（とおやま しずお）

概要

遠山静雄は、1895年2月15日に広島県で生まれ、1986年11月10日にその生涯を閉じた日本の照明技師です。彼は舞台照明の草分け的存在として、舞台芸術の発展に多大な影響を与えました。彼の職業人生は、演劇の照明技術の進化に寄与し、後進の指導にも積極的に関わりました。

学歴と初期のキャリア

遠山は1915年に東京高等工業学校（現東京工業大学）を卒業後、東京電気（現在の東芝）で4年半勤務しました。その後、演劇の世界に飛び込み、1920年には舞台美術会に参加することになります。彼はその際、「私がやらなければ恐らく誰もやらないだろう」という強い信念のもと、本格的に舞台照明に関与し始めました。

照明技術への貢献

1921年から、彼は新劇や新歌舞伎、新舞踊の舞台照明を担当しました。当時の舞台照明は未開発であったため、遠山はその知識を深め、技術の確立に努めました。1929年には「遠山照明研究所」を設立し、同業者や弟子たちと共に技術の研究に励みました。彼の研究所には、後に多くの著名な照明技師たちが参加しました。

1933年には、東京宝塚劇場の設立に関与し、宝塚少女歌劇団の顧問として舞台照明に革新をもたらしました。この劇場のオープンは舞台照明における重要な転換点となり、彼の評価を高めました。

東宝での活動

1936年には東宝に入社し、その後は専属の照明技師として活動を始めました。彼は「遠山照明研究所」を解体し、東宝内での役職も歴任しました。戦後、東宝内の争議によって多くの演劇関係者が離職する中、遠山も1995年に退社し、その後は再び「遠山照明研究所」を立ち上げました。

教育者としての役割

遠山は1950年から日本大学芸術学部の講師となり、装置論や照明論の講義を通じて多くの学生を指導しました。彼の教育活動は30年にわたり、多くの後継者たちを育て出しました。1975年には『日照演劇論』で河竹賞を受賞し、その業績が評価されました。

さまざまな資格と著書

遠山は日本舞台照明家協会の初代理事長を務め、他にも多くの協会で重要な職に就きました。彼の著書には『舞台照明五十年』『アドルフ・アピア』などがあり、日本の舞台照明に関する貴重な資料として現在も参考にされています。

結論

遠山静雄の業績は、舞台照明の分野における基礎を築き、演劇界に多大なる貢献をしました。また、彼の指導を受けた多くの後進たちが、現在の舞台美術界においてもその影響を受け続けています。

もう一度検索