遠藤守信

遠藤守信（えんどう もりのぶ）について

遠藤守信は1946年に長野県須坂市で生まれた日本の著名な物理学者および化学者です。彼は特に触媒化学気相成長法を用いてカーボンナノチューブの存在を初めて示し、その成長モデルを確立しました。1976年のこの発見は、カーボンナノチューブの研究と応用において重要な里程標となりました。1982年には多層カーボンナノチューブの量産技術を開発し、その後の研究や技術革新に大きな影響を与えました。

1991年には飯島澄男によってカーボンナノチューブの構造が解明され、以降、この材料はリチウムイオン電池の電極や樹脂複合材料として広く使用されるようになり、現在では日本、米国、欧州で年間1,000トン以上が生産されています。このように、遠藤はナノテクノロジーの発展において極めて重要な役割を担っています。

学歴と経歴

信州大学での学びを経て、1969年に工学部の電気工学科を卒業しました。続いて1971年に信州大学大学院工学研究科で修士号を取得し、1972年には同大学で助手としてキャリアをスタートさせました。その後、フランス国立科学研究センター（CNRS）等での研究を経て、1977年に信州大学工学部の講師に就任。1982年にはマサチューセッツ工科大学（MIT）の招聘研究員としても活躍しました。

信州大学工学部教授を1990年に拝命し、以降、地域共同研究センターのセンター長、炭素材料学会の会長をつとめ、2012年からは信州大学先鋭領域融合研究群カーボン科学研究所の特別特任教授として研究を続けています。また、名古屋大学で工学博士号を取得し、フランス国立オルレアン大学でも博士号を取得しました。

研究分野と貢献

遠藤の研究は、電気・電子物性工学とそのエネルギー工学への応用に重点を置いています。また、新しい炭素材料に関する科学的知見とその応用にも深い関心を寄せています。彼の業績は多岐にわたり、多くの学術賞も受賞しています。

学術的業績と受賞歴

彼は1995年の炭素材料学会賞をはじめ、2001年にはCharles E. Pettinos賞、2002年にはLEE HSUN Lecture Series 賞を受与され、2004年にはアメリカカーボン学会からMedal of Achievement in Carbon Science and Technology を受賞しました。これ以外にも、彼の研究は国内外で高く評価されており、2008年には紫綬褒章、2020年には瑞宝中綬章を授与されるなど、その貢献は多岐にわたります。

名誉および外部活動

遠藤は2004年に北京化工大学より名誉教授の称号を授与され、2006年には故郷である長野県須坂市の名誉市民に選ばれました。彼の研究業績は、日本国内外で多くの学会に所属していることからも明らかです。電気学会、応用物理学会、炭素材料学会、電子情報通信学会、MRS、American Carbon Society などに積極的に参加しています。

彼の研究室や所属するカーボン科学研究所では、未来の素材やエネルギー技術に関する研究が進められており、これからも多くの新しい成果が期待されています。

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