遠藤常春

遠藤常春の生涯

遠藤常春（えんどう つねはる）は、1667年2月8日に生まれ、1689年5月13日に亡くなった美濃八幡藩の第4代藩主です。彼は第3代藩主である遠藤常友の次男として誕生し、母は戸田氏信の娘でした。また、常春は松平源信の娘を正室に迎え、継室は牧野富成の養女であった村越直成の娘でした。子どもには、長男の遠藤常久がいます。常春は官位として従五位下、右衛門佐に任じられました。弟の遠藤内記慶紀は家老として2千石を有し、その生涯で重要な役割を果たしました。

若き藩主の登場

常春は延宝3年（1675年）2月に初めて御目見を果たし、翌年の延宝4年（1676年）に父の死により家督を継ぎました。しかし、幼少の常春には政権運営の経験がなく、母の兄弟である美濃大垣藩主・戸田氏西と藩重臣たちが彼の後見を務めました。

藩の財政危機と騒動

延宝5年（1676年）、藩は財政難に直面し、増税政策を実施しましたが、この政策は既に過重な税負担を抱えていた農民から強い反発を受けました。農民たちは江戸屋敷に訴え出て、家老たちの間でも意見の対立が生じました。主に増税を主張する家老・遠藤七郎右衛門と俸禄削減を提案した遠藤杢之助がそれぞれ江戸に向かい、自らの意見を述べました。最終的に杢之助の提案が採用されたことで、七郎右衛門は失脚しました。

ところが、この政治的混乱は家臣や農民の不満を煽り、特に高禄の家臣による不穏な動きが発生しました。家臣が杢之助の娘婿を襲撃しようとし、農民たちも城下に集まる騒動が起こり、これを「延宝の郡上騒動」と呼びます。杢之助と増税派の家老は責任を感じ、隠居を余儀なくされましたが、藩内の混乱は続きました。

和合の誓いと最期

天和2年（1682年）、藩士たちは和合の誓詞を出し、一連の騒動はようやく終息を迎えました。天和元年（1681年）には、上野沼田藩主・真田信利の改易に伴い、その次男である武藤信秋を預かるよう命じられました。元禄元年（1688年）には、ようやく国許に下向する許可が下りました。

しかし、常春はその翌年、元禄2年3月24日に郡上にて亡くなりました。藩主としての短い生涯は、多くの苦難と波乱に満ちていました。彼の後を継いだのは長男の遠藤常久です。常春の時代は美濃八幡藩の歴史において重要な一章を刻み、多くの教訓を残しました。

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