遠見岬神社

遠見岬神社の由緒と歴史

遠見岬神社（とみさきじんじゃ）は、千葉県勝浦市浜勝浦に位置する神社です。かつては郷社であり、房総半島を開拓したとされる天富命（あめのとみのみこと）を主祭神として祀っています。

天富命と房総開拓

神武天皇の側近として活躍した天富命は、阿波の開拓を終えた後、より良い土地を求めて阿波忌部氏らを率い、黒潮に乗って房総半島南端の布良の浜に上陸したと伝えられています。彼は祖神である天太玉命（あめのふとだまのみこと）を祀る社を建て、安房の開拓を進めましたが、その後この地で生涯を終えたとされています。

天日鷲神（あめのひわしのかみ）の後裔である勝占の忌部須須立命（かつうらのいんべのすすたちのみこと）は、八幡岬突端の富貴島にあった天富命の居跡に社殿を建立し、開拓の祖神として祀ったのが遠見岬神社の始まりとされています。

大津波による社殿の流失と再建

慶長6年（1601年）には大津波により、岬突端の富貴島にあった社殿は決壊し、多くの社宝が流失する被害に見舞われました。しかし、決壊した社殿と御神体が高磯の浜に流れ着き、その流れ着いた場所である「宮の谷」に社殿を再建することになりました。この再建には、里見氏や安房正木氏、そして近郷の領主たちの篤い信仰があったと伝えられています。

現在地への遷座と社名の改称

その後、万治2年（1659年）には、当時の領主であった植村土佐守が神占によって現在の地である「宮山」に遷祀しました。現在の社殿は嘉永2年（1849年）に改築されたものです。江戸時代までは富大明神と称されていましたが、明治6年（1873年）に遠見岬神社と改称し、郷社に列せられました。

富貴島の海没と勝浦の地名

元々社殿があった富貴島は、津波や元禄16年（1703年）の大地震によって海没し、現在は一部が平島として残るのみとなっています。また、勝占の忌部が住んだこの地は勝占と呼ばれるようになり、それが転じて「勝浦」の地名の由来になったとされています。

遠見岬神社の現在

遠見岬神社は、現在も地域の人々の信仰を集め、勝浦の歴史と文化を伝える重要な場所となっています。勝浦を訪れた際には、ぜひ立ち寄ってみてください。

参考文献

谷川健一 『日本の神々－神社と聖地－第十一巻 関東』 白水社、1984年。ISBN 4-560-02221-6

関連項目

勝浦大漁まつり
かつうらビッグひな祭り（2月下旬～3月上旬）

外部リンク

遠見岬神社ホームページ
* 歴史・文化財 遠見岬神社 勝浦市ホームページ

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