遮断周波数

遮断周波数の基礎

遮断周波数とは、システムの応答特性が変化する境界となる周波数を指します。この周波数を超えると（または下回ると）、システムの出力は減衰したり、反射したりします。物理学、電気工学、通信工学など、幅広い分野で重要な概念です。

電子回路における遮断周波数

電子回路（増幅器、フィルタなど）において、遮断周波数は出力電力が通過帯域の1/2となる周波数と定義されます。これは、出力電圧が通過帯域の1/√2となること、つまり約-3dBの減衰に相当します。この周波数では、位相特性も影響を受け、伝達関数の振幅特性と位相特性に変化が現れます。バンドパスフィルタのように複数の遮断周波数を持つ回路では、それらの平均を中心周波数と呼びます。

電気通信における遮断周波数

無線通信において、電波が電離層で反射する際、電波の周波数と入射角によって反射または透過が決まります。この境界となる周波数を遮断周波数と呼びます。周波数が遮断周波数より高い電波は電離層を透過し、低い電波は反射されます。この特性は、長距離無線通信に利用されています。

導波管における遮断周波数

導波管や光ファイバーでは、電磁波が伝播できる最小周波数（または最大波長）を遮断周波数（または遮断波長）と呼びます。導波管の形状や寸法によって遮断周波数は異なり、ヘルムホルツ方程式やマックスウェル方程式を解くことで算出できます。遮断周波数以下の周波数の電磁波は導波管内を伝播できず、減衰します。導波管の形状（矩形、円形など）によって遮断周波数の計算式が異なります。矩形導波管では、モード数と導波管の寸法から遮断周波数が計算できます。円形導波管では、ベッセル関数などを用いた計算が必要になります。光ファイバーでは、遮断波長は標準周波数の波長の約2.405倍程度です。

遮断周波数の数学的解析

遮断周波数は、マックスウェルの方程式から導かれる波動方程式、およびヘルムホルツ方程式を用いて数学的に解析できます。導波管内の電磁波の伝播は、進行方向と垂直方向のラプラシアンを用いて記述されます。導波管の形状（例：矩形）に応じて境界条件を適用し、固有モードと分散関係を求めます。進行方向の波数を0とした際に得られる周波数が遮断周波数です。遮断周波数以下では、進行方向の波数は虚数となり、電磁波は指数関数的に減衰します。

まとめ

遮断周波数は、様々な物理システムにおける周波数応答の限界を示す重要な指標です。電子回路、通信システム、導波管など、幅広い分野で応用され、その特性を理解することはシステム設計において不可欠です。数学的な解析を通して、遮断周波数の物理的意味と計算方法をより深く理解できます。

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