選抜高等学校野球大会入場行進曲

選抜高校野球大会入場行進曲について

選抜高校野球大会の入場行進曲は、大会の開会式や閉会式で演奏される特別な音楽です。この曲は、毎年出場する高校生たちが行進する際の雰囲気を盛り上げる役割を果たしています。

選曲の歴史と特徴

入場行進曲の選曲に関する具体的な規定は存在しませんが、1962年の第34回大会から「上を向いて歩こう」が採用されて以来、前年に流行したヒット曲が多く選ばれるようになりました。それ以前は、大会歌や軍歌、行進曲、さらには外国映画の主題歌など、多様な楽曲が用いられていました。この変遷は、時代の流行や高校野球の文化変化を反映しています。

音源は大阪市音楽団によって毎年2月の初めに録音され、出場する高校にカセットテープやCDとして贈呈されます。また、開幕前にはこれらの音楽が収められたCDが販売されることもあり、その中には入場行進曲やファンファーレ、その他の曲が収められています。

演奏の担当者

開会式と閉会式では、大阪、兵庫、京都、滋賀、奈良、和歌山などの府県に所属する警察音楽隊が演奏を行います。当初は全てのパフォーマンスが警察音楽隊によって行われていましたが、1995年の阪神・淡路大震災の際には、その関係で警察官が被災地での業務に優先的に従事することになり、高校生の吹奏楽部員が演奏に参加しました。このような経緯を通じて、入場行進曲には高校球児たちの活気が込められています。1998年には警察音楽隊が復帰しましたが、その後も高校生が演奏に加わるスタイルは継続されました。

アーティストや作曲家の出演

過去には、入場行進曲を制作したアーティストや作詞・作曲者が毎日放送の開会式中継にゲストとして招かれていました。しかし、第57回大会（1985年）の人気バンド「チェッカーズ」や第61回大会（1989年）の「光GENJI」などは、彼らの人気に伴い混乱が予想されるため、出演が見送られる事態となりました。

中継と音楽の融合

NHKの中継では、龍野順義がエレクトリックピアノで演奏した曲が試合の合間に流され、全国に放送される場面もありました。2015年からは、阪神甲子園球場の最寄り駅である甲子園駅において、列車接近メロディに入場行進曲が使用されるようになり、地域の人々の日常の中にも高校野球の応援が広がっています。

歴代入場行進曲と編曲者

入場行進曲には多くの編曲者が携わっています。辻井市太郎は第34回から第58回大会まで、この役割を持っていました。次いで、永野慶作が第59回から第80回記念大会まで編曲を担当し、現在は酒井格がこの責任を担っています。これらの作業を通じて、入場行進曲は時代ごとの音楽シーンや高校野球文化を反映した重要な存在となっています。

このように、選抜高校野球大会の入場行進曲は音楽の側面だけでなく、歴史や文化、地域の絆という要素をも包含する、非常に意味深いものとなっています。

もう一度検索