遺伝子改変動物

遺伝子改変動物とは

遺伝子改変動物とは、遺伝子工学的な手法を用いて、人為的にその個体の遺伝情報を変化させた動物のことを指します。この技術によって、特定の遺伝子を外部から導入したり（トランスジェニック動物）、特定の遺伝子を破壊してその機能を失わせたり（ノックアウト動物）することが可能になります。

研究における重要性

遺伝子改変動物は、生命科学分野において、特定の遺伝子が生物の体内でどのように機能しているかを研究するために非常に重要な役割を果たしています。特に、遺伝子改変マウス（ノックアウトマウス）は、ヒトと近縁な高等哺乳類で最も早く技術が確立されたため、ヒトの生理現象や疾患を再現するモデル生物として広く利用されています。

作製と規制

遺伝子改変動物の作製には、専門的な知識と高度な技術が必要とされるため、大学などの研究機関や企業が専用の施設を設けて作製・維持しています。また、人為的に作製された遺伝子改変動物は、生態系に影響を与える可能性があるため、国際的な法規制の対象となっています。2009年現在、生物の多様性に関する条約の一部であるカルタヘナ議定書によって、世界的に規制の枠組みが定められており、日本ではこれに対応する国内法として、いわゆるカルタヘナ法があります。この法律は、動物だけでなく、植物や細菌、真菌なども含めた遺伝子組換え生物の作製、移動、保管を制限しています。

突然変異体との違い

線虫やショウジョウバエ、ゼブラフィッシュなどの小型動物では、変異原を投与して遺伝子に突然変異を起こすことが一般的に行われています。このような方法で得られた個体も、人為的に遺伝情報を変化させていますが、自然にも起こり得る変化であり、外来の遺伝子を含まないため、カルタヘナ法による規制の対象とはなりません。これらの個体は、一般的に突然変異体と呼ばれています。

トランスジェニックマウスの作製方法

トランスジェニックマウスの作製には、様々な方法がありますが、近年ではマイクロインジェクション法が主流です。この方法では、ドナー動物から採取した受精卵の前核に、倒立顕微鏡下でマイクロキャピラリーを用いてDNA溶液を注入します。このDNA溶液は事前に調製しておきます。DNAを注入した受精卵を、レシピエント動物の卵管内に移植し、自然分娩された生まれた個体の中から、遺伝子が導入されたものがトランスジェニックマウスとなります。

まとめ

遺伝子改変動物は、生命科学研究において不可欠なツールであり、病気のメカニズム解明や治療法開発に大きく貢献しています。しかし、その作製と利用は厳格な規制のもとで行われており、生態系への影響についても慎重な配慮が求められています。

[外部リンク]
* トランスジェニック動物 - 脳科学辞典

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