遺体収納袋

遺体収納袋（いたいしゅうのうぶくろ）は、人間の遺体を収納するために使用される袋です。 納体袋、遺体袋とも呼ばれます。何らかの理由で棺を使用できない状況において、遺体を衛生的に、かつ尊厳を保って搬送・安置するために用いられます。

歴史

遺体収納袋の歴史は古く、南北戦争時代のアメリカ合衆国にまで遡ります。戦場での遺体搬送を容易にするため、1863年にDr. Thomas Holmesによって袋の特許が申請されています(United States Patent No.39291)。当初は単純な布袋でしたが、素材の進化に伴い、現代では様々な機能を持つ製品が登場しています。

特徴

現代の遺体収納袋は、単なる袋ではありません。遺体の尊厳を守り、安全に搬送するために、以下のような特徴を備えています。

強度: 生前の体重に耐えうる強度が確保されています。
素材: 遺体から出る液体や気体を外部に漏らさない、特殊な素材が使用されています。
機能性: 遺体確認用の小窓や、搬送用の持ち手が付いている場合があります。
気密性: 感染症対策として、気密性の高い非透過性の素材が使用されることがあります。

使用される主な場合

遺体収納袋は、以下のような状況で使用されます。

戦争: 大規模な戦闘で多数の死者が出た場合、迅速な遺体収容のために使用されます。アメリカが北朝鮮に「遺体袋で帰ることになる」と警告した事例もあります。
災害: 大規模な自然災害などで棺が不足した場合、仮埋葬までの間、遺体を保護するために使用されます。東日本大震災でも使用されました。
事故・事件: 遺体の損傷が激しく、そのままでは搬送が困難な場合に使用されます。
感染症: 感染症予防法で指定された感染症で死亡した場合、二次感染を防ぐために気密性の高い遺体収納袋が使用されます。

注意点

遺体収納袋は、あくまで遺体を一時的に収納するためのものです。可能な限り棺に納め、適切な葬儀を行うことが望ましいとされています。また、近年では、遺体収納袋を使用しない「威厳ある移送」という考え方も広まっています。

関連項目

葬儀
死に装束
聖骸布
棺（棺桶、石棺）
* 威厳ある移送

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