遼寧 (空母)

空母「遼寧」について

「遼寧」は、中国人民解放軍海軍に属する航空母艦であり、中国初の空母として知られています。この艦は、ソ連海軍向けに建造されていた未完成の重航空巡洋艦「ヴァリャーグ」を元にしています。「ヴァリャーグ」は、1985年にソビエト連邦での建造が始まりましたが、1991年のソ連崩壊に伴い建造が中止され、その後ウクライナに移管されました。1998年に中国が購入し、約7年にわたり改修を行ったのち、2012年に「遼寧」として就役しました。

購入と改修の背景

「ヴァリャーグ」は、最初はカジノやホテルとしての運用が念頭に置かれていましたが、実際には中国海軍の軍艦として再生されることとなりました。トルコとの航行交渉や、中国国内での大規模改装を経て、「遼寧」という新たな名前が付けられ、正式に中国海軍の一員となりました。艦体は改修され、航空機の運用に必要な設備や装備が整えられました。

再建造の経緯

艦載機としては、Su-33を基にしたJ-15が採用され、最終的には約20機を搭載可能とされています。2008年からは、練習空母としての運用を目指し、さらなる改修が行われました。その後、2011年には完成式典が行われ、試験航行を行い、2012年には正式に就役しました。現在の「遼寧」は、中国の航空母艦運用技術を支える重要な役割を果たしています。

設計と能力

「遼寧」は、全長304メートル、満載排水量は約60,000トンで、艦載機の発着艦はSTOBAR（短距離発着艦方式）を採用しています。航空母艦としての機能はソ連から引き継いでおり、発艦にはスキージャンプを用いた独自のシステムがあります。着艦にはアレスティング・ワイヤーが使用され、これにより艦上の航空機の運用が効率良く行われるよう設計されています。

空母の運用と訓練

「遼寧」の運用開始以降、中国海軍は西太平洋へ進出し、艦隊行動の一環として様々な種類の演習を実施しています。特に近年は、南シナ海や第一列島線を越えた遠洋訓練が盛んになっており、他国の艦隊との接触も増えています。また、飛行訓練においては、ヘリコプターや艦載機による発着艦が報告されており、運用技術の向上が図られています。

運用歴

「遼寧」は、就役後すぐに艦載機の発着艦試験を始め、様々な訓練を実施してきました。特に、航空機の着艦や離陸の成功が報じられ、実戦に備えた運用能力が培われています。また、空母の艦隊行動は、日本を含む周辺国からの注目を集めており、航行ごとに様々な識別情報が記録されています。2021年には、初めて西太平洋まで航行する艦隊行動が確認され、2023年に至るまで活動を続けています。

結論

空母「遼寧」は、中国の海軍力を象徴する存在であり、近年の海軍戦略において重要な役割を果たしています。その建造と運用の歴史は、中国の航空母艦技術の発展とともに、中国海軍の成長を物語るものとなっています。

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