遼瀋戦役

遼瀋戦役

遼瀋戦役（りょうしんせんえき）または遼寧瀋陽戦役（りょうねいしんようせんえき）は、国共内戦の重要な戦闘の一つであり、1948年9月から11月までの52日間にわたって行われました。この戦役は、中国人民解放軍が中華民国軍に対して繰り広げた3大戦役のうちの最初のものであり、残りの2つは淮海戦役と平津戦役です。

背景

1947年の中国東北部における冬季攻勢の後、人民解放軍は13個の歩兵軍団、1個の砲兵軍団、15個の独立師団、3個の騎兵師団から構成され、総勢54師団・約70万人の大規模な軍勢を構えました。その上、30万の非正規軍も存在し、1948年8月の時点では満洲の人口の86％、土地の97％を支配下に置いていました。一方、中華民国は44師団・55万人で警察を含む勢力を維持していましたが、数的には人民解放軍が優越していました。

中華民国軍は、瀋陽、長春、錦州に孤立し、それぞれがお互いに連絡を取ることができない状態に陥っていました。人民解放軍は京哈線を支配し、瀋陽と長春への補給線を遮断していたため、航空輸送に頼らざるを得ない状況となりました。そのため、政府は長春と瀋陽から要塞である錦州への撤退を考慮していました。

共産党の進撃（9月12日 – 10月20日）

錦州

1948年9月12日、人民解放軍は京哈線を制圧し、綏中、昌黎、塔山、義県を占領しました。蔣介石は9月30日に北平に到着し、錦州への増援を計画しました。10月2日には瀋陽へ向かい、第9軍に錦州へ向かうよう指示を出しました。しかし、共産党軍は10月3日までに25万人を集結させ、錦州の包囲を展開しました。民国軍は10月10日から15日の間に包囲からの脱出を試みましたが、塔山の戦闘で全く攻撃を受けました。

10月14日、共産党軍は錦州に対する最後の攻撃を行い、翌日の夕方にここを占拠しました。

長春

長春においては、すでに5か月以上にわたり包囲されており、民国軍は蔣介石の指示にもかかわらず包囲を突破できずにいました。錦州の陥落を受け、第60軍は10月17日に叛逃し、新第7軍も19日に降伏しました。最後の民国軍は10月21日に降伏し、共産党軍が長春を占領しました。

民国軍の反撃（10月21日 – 10月28日）

黒山

民国軍は錦州と長春で大きな損害を受けた後、蔣介石は反攻を計画し、廖耀湘に錦州の再占領を命じましたが、これに対して異議が表明されました。10月16日、指導部は錦州ではなく黒山と大虎山の占領を決定し、その後営口への撤退を計画しました。蔣介石もこの計画に同意し、21日に第9軍が黒山に対する攻撃を開始しました。しかし、共産党軍は防衛を成功させ、逆に第9軍を包囲し、撃破しました。

瀋陽の陥落（10月29日 – 11月2日）

人民解放軍は10月29日に瀋陽を包囲し、民国軍の指揮官衛立煌は翌日脱出しました。11月1日、共産党軍は瀋陽に対する最終攻撃を敢行し、民国軍は降伏しました。同日、営口も共産党に降伏し、残る民国軍は葫蘆島へ撤退、これにて遼瀋戦役は終了しました。

戦後の影響

瀋陽の陥落により、葫蘆島にいる民国軍は天津と上海へ後退し、満洲は共産党の支配下に入りました。満洲は重工業が発展しており、豊富な資源を抱えていたため、その喪失は中華民国にとって深刻な打撃となりました。民国軍の戦意は著しく低下し、以降の戦闘においても人民解放軍が人数で上回るようになりました。

関連項目

• - 中国人民解放軍の歴史
• - 三大戦役

参考文献

• - 《雪白血紅》 張正隆 解放軍出版社 (1989年)
• - 《遼瀋戦役概述》杜聿明, 文史資料選輯 (1961年)
• -《東北戦場与遼瀋戦役》韓先楚, 《遼瀋決戦》人民出版社
• - 外部リンク: Liaoshen Campaign Memorial

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