避雷器

避雷器とは

避雷器（ひらいき）は、発電所や変電所、送電、配電系統の電力設備や通信機器を雷によって発生する異常高電圧、いわゆるサージから保護するための装置です。技術的には「サージ防護デバイス」(SPD: Surge Protective Device)とも呼ばれ、このカテゴリには様々な種類のデバイスが含まれます。日本では一般的にサージ防護機器全体を避雷器と称することもありますが、ここでは特に標準的な避雷器について焦点を当てます。

避雷器の役割

屋外に設置された電力線や通信回線は、自然環境からの影響を受けやすく、特に落[[雷]]時には高い電圧が回路に侵入する危険性があります。このような過渡的な高電圧が回路にかかると、設備の損傷や故障が生じる可能性があるため、適切に対策を講じる必要があります。

避雷器は、回路内に意図的に設けた絶縁が弱い部分を利用し、サージ電圧がかかった際にはその部分を突破させてサージ電流をバイパスし、回路を保護します。近年は、サージが発生した後も即座に元の機能を回復できるような設計が進められています。このように、避雷器は雷による電圧の影響だけでなく、スイッチやモーターなどから生じるサージにも対応する役割を持っています。

避雷器の歴史と進化

避雷器の歴史は古く、1900年代初頭に酸化アルミニウム避雷器が実用化され、その後、1930年代には炭化ケイ素を用いた避雷器が登場しました。1980年代になると、高性能の酸化亜鉛避雷器が主流となり、現在ではこのタイプが多く採用されています。日本では高圧送配電系統に対して避雷器の設置が義務化されており、様々なJIS規格が制定されています。しかし、低圧回路に関しての特定の規定がないため、IECによる国際基準に従う形で規制が整備されてきました。

サージ抑制用素子

避雷器はサージ抑制用素子を組み合わせたデバイスですが、主なサージ抑制用素子には以下のようなものがあります：

• - ガス入り放電管（GDT）: 放電によって電圧を制限します。
• - 金属酸化物バリスタ（MOV）: 非線形特性を利用して電圧を抑制します。
• - アバランシェダイオード（ABD）: シリコン半導体の特性を利用します。
• - サージ抑制サイリスタ（TSS）: 特定の構造を持ち、サージを抑制します。

これらの素子は、避雷器がどのようにサージを処理し、保護機能を果たすかに大きく関与しています。

避雷器の安全性と選択

避雷器は万が一の際に自らが焼損して他の機器を守ることが期待されています。そのため、特に防火性能が重視されます。1961年に制定されたUL規格では、避雷器に具体的な安全性能が求められるようになり、各規格には感電防止や火傷防止に関する詳細な規定が設けられています。日本では、法的な規制は未整備ですが、民間団体による安全基準が設けられています。適切な避雷器を選定するには、各国の消防法やJIS基準を参考にすることが重要です。

結論

避雷器は、ライフラインを守るための重要なデバイスであり、雷によるサージからの保護は今後もますます重要なテーマとなっています。技術の進歩と共に、安全性や機能性の向上が図られる中、避雷器の選定と適切な使用が求められます。

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