那比新宮神社

那比新宮神社の概要

那比新宮神社（なびしんぐうじんじゃ）は、岐阜県郡上市八幡町那比に位置する神社で、高賀山信仰の中心的な役割を果たしています。この神社は「高賀山六社」として知られる6つの神社の一つで、歴史的な背景を持つ重要な文化財が数多く残されています。

神社の特徴

この神社の最も特異な点は、御神体が仏像（金銅宝冠虚空蔵菩薩坐像）であることです。また、鎌倉時代から室町時代にかけての懸仏が多く安置されており、廃仏毀釈以前の神仏習合の姿が今に伝わります。境内に生育する杉の木は300年以上の樹齢を有し、この全体の林は「那比新宮神社社叢」として1962年に岐阜県指定の天然記念物となっています。なお、御神体の虚空蔵菩薩坐像を除いた文化財は境内の宝物殿に保管され、一般の拝観はできません。

祭神と歴史

那比新宮神社の祭神は那比大神であるとされているものの、鎌倉時代の文献などではその実態について明確ではありません。一説には、熊野三山から勧請された神とも伝わっています。社伝によれば、天暦年間に朝廷が藤原高光を派遣し、妖怪を退治するために神社を建立し、高賀山麓の六つの神社が創建されたとされています。その後、平安時代後期には高賀巌屋新宮とも呼ばれ、独特な信仰形態が形成されました。明治時代の廃仏毀釈の際には、地元住民の努力により、神仏習合の信仰が何とか維持されています。

文化財の紹介

この神社には多くの重要文化財が収蔵されています。特に注目されるのは、金銅宝冠虚空蔵菩薩坐像や金銅地蔵菩薩坐像、そして255面もの懸仏で、これらは祭りや信仰に霊的な意義を持っています。金銅宝冠虚空蔵菩薩坐像は、像高48.8センチメートルで、精緻な工芸技術に支えられた美しい姿をしています。また、懸仏は当神社に特有なもので、鎌倉時代から南北朝時代にかけて造られたものが多数残っており、その中には貴重な年紀が刻まれたものも含まれています。

その他にも十一面観音立像、勢至菩薩像、大般若経471巻、古常滑大瓶など、平安時代や鎌倉時代に遡る貴重な木造仏像や経典も収められています。

自然環境と交通アクセス

那比新宮神社は高賀山の美しい山麓に位置し、自然に囲まれた歴史ある場所です。交通手段については、郡上市自主運行バスを利用し「二間手」バス停から徒歩約4キロの距離にあります。また、長良川鉄道越美南線の相生駅からは自動車で約30分、東海北陸自動車道の郡上八幡ICからもアクセスしやすい位置にあります。

このように、那比新宮神社は宗教的意義はもちろん、文化的、歴史的な価値を持つ場所であり、多くの訪問者に愛され続けています。

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