那覇港湾施設

那覇港湾施設（なはこうわんしせつ）

那覇港湾施設は、沖縄県那覇市にある在日米軍基地です。旧称は「那覇軍港」で、アメリカ陸軍が管轄しています。施設番号はFAC 6064です。かつては沖縄最大の軍港でしたが、現在は規模が縮小されています。

概要

那覇港湾施設は、国場川の河口南側に位置し、北側には民間の那覇港那覇ふ頭、那覇港フェリーターミナルがあります。南側には陸上自衛隊那覇駐屯地があります。2008年3月末時点の面積は55.9ヘクタールで、2,545メートルのバースを有し、2万トン級の船舶7隻が同時に接岸可能でした。主な使用目的は港湾施設および貯油所です。ベトナム戦争時には重要な後方支援基地として機能していました。

場所と管理

場所: 那覇市（垣花町、住吉町）
面積: 55.9ヘクタール
管理部隊: 米陸軍トリイステーション基地管理本部
使用部隊: 第835米陸軍運輸大隊、空軍貨物関係連絡事務所、海兵隊貨物関係連絡事務所、第10支援群など

歴史

1945年6月4日: 沖縄戦で米軍が小禄に上陸し、小禄半島が米軍基地として接収されました。
1972年: 沖縄返還協定で「那覇軍港」から「那覇港湾施設」に改称されました。
1974年: 日米安全保障協議委員会で那覇軍港の全面返還が合意されました。
1996年: SACO最終報告で、浦添埠頭地区への移設を条件に全面返還を加速化することが決定されました。
2001年: 浦添市長が那覇港湾施設の浦添市への移設容認を表明しました。
2013年: 浦添市長選挙で「受け入れ反対」を掲げた松本哲治氏が当選しましたが、後に移設を受け入れる方針に転換しました。
2015年: 松本市長が公約を撤回し、移設を受け入れると発表しました。

那覇軍港移設問題

那覇軍港は、1960年代のベトナム戦争時に米軍のロジスティクス拠点として活発に使われていました。しかし、1972年以降は小禄半島の米軍基地はほとんどが移設・返還され、現在は那覇軍港のみが残っています。軍港としての機能は、主に東海岸のホワイトビーチ地区に移っています。そのため、那覇軍港は「遊休化」しているとの指摘があります。

日米地位協定では、不要になった施設は日本に返還することが定められていますが、2020年に沖縄県知事が先行返還を求めたのに対し、政府は「実際に使用されており、遊休化していない」と反論しています。しかし、米軍は2002年以降、入港した船のデータを公表していません。

北側案と南側案

2013年に浦添市移設反対を掲げて当選した松本市長は、任期中に移設受け入れに転じました。2017年の市長選では「南側案」を掲げて当選しましたが、国は南側案を拒否しています。

使用目的外の使用

2022年2月、米海兵隊は那覇港湾施設で人道支援を想定した訓練を実施しました。これは地位協定での使用目的である「港湾施設および貯油施設」の範囲外であり、人口密集地での訓練に県や市民が強く抗議しました。

その他

那覇大綱挽まつり: 那覇まつりのメインイベントである那覇大綱挽に使用される大綱は、1992年から那覇港湾施設の敷地内で制作されています。
みなと村: 1947年から1950年まで、米軍統治下の沖縄に「那覇港湾作業隊」のための特殊行政区「みなと村」が設置されていました。


那覇港湾施設は、その歴史と現状において、沖縄の基地問題や都市開発、住民の生活に深く関わる重要な場所です。今後の返還に向けた動きが注目されます。

参照項目

小禄
沖縄の米軍基地
みなと村 > 那覇港湾作業隊
* SACO最終報告 > 嘉手納以南の基地返還計画

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