那須温泉神社

那須温泉神社：歴史と伝説が息づくパワースポット

栃木県那須郡那須町に鎮座する那須温泉神社は、古くから人々の信仰を集めてきた由緒ある神社です。創建は舒明天皇の時代（629年～641年）にまで遡ると伝えられており、869年には従四位上に叙せられるなど、古くから朝廷からも崇敬を受けていました。『延喜式神名帳』にもその名が記載されていることから、その歴史と格式の高さがうかがえます。

特に有名なのが、平安時代の武将・那須与一にまつわる逸話です。屋島の戦いで、与一は扇の的を射る前に那須温泉神社に必勝祈願を行いました。

「南無八幡大菩薩、別しては吾が国の神明、日光権現宇都宮、那須温泉大明神、願わくはあの扇の真中射させてたばえ給え」

その祈願が通じたのか、見事に扇の的を射抜いた与一は、この功績によって名声を高め、那須郡の総領となりました。凱旋後、与一は神恩への感謝を込めて大社殿を寄進し、鏑矢、蟇目矢、征矢、桧扇、鳥居などを奉納しました。

この逸話から、那須温泉神社は必勝祈願の神社として広く知られるようになり、多くの参拝客が訪れるようになりました。1686年には正一位に叙せられるなど、その信仰は時代を超えて受け継がれています。

境内には、与一が奉納したとされる三之鳥居をはじめ、水琴窟やさざれ石など、歴史を感じさせる数々の建造物や自然物が存在します。また、神社の背後には、玉藻前が石化したという伝説を持つ殺生石があります。この殺生石は、神社の歴史と神秘性をさらに深める存在となっています。

那須温泉神社には、本殿の他に多くの境内社が祀られています。愛宕社（祭神：火産霊命）、見立神社（祭神：天児屋根命、狩野三郎行広）、祖霊社、琴平神社、疱瘡神社、神明社、山神社、稚祇神社、天満天神（祭神：菅原道真公）、そして九尾稲荷神社（祭神：九尾の狐（玉藻前））など、多様な神々が祀られており、それぞれの神様への信仰を集めています。

これらの境内社は、那須温泉神社の歴史と信仰の広がりを示す重要な要素であり、それぞれに独自の物語や歴史が秘められていると考えられます。

那須温泉神社は、単なる神社ではなく、歴史、伝説、そして自然が融合した、まさにパワースポットと言えるでしょう。静寂の中に流れる歴史の息吹を感じながら、神々の霊験にひたる、そんな貴重な体験ができます。必勝祈願はもちろん、歴史散策や自然との触れ合いを求めて訪れるのも良いでしょう。那須地方を訪れる際には、ぜひ足を運んでみてください。

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