那須疏水

那須野が原用水

那須野が原用水は、栃木県那須野が原に広がる農地を潤す農業用水路です。その歴史は明治時代にまで遡り、殖産興業政策の一環として、県令の三島通庸や地元の有志によって那須疏水が開削されたことに始まります。わずか5ヶ月という短期間で主要な水路が完成し、その後も水門や導水路の建設が進められました。

歴史

1885年（明治18年）に開削された那須疏水は、那珂川の岩崎取水堰から取水し、扇状地である那須野が原一帯に農業用水を供給する重要な役割を担いました。供給対象面積は約4300ヘクタールに及び、那須塩原市、大田原市の那須野が原全域をカバーしています。

その後、那須疏水は周辺の小規模な用水路と統合され、現在の那須野が原用水となりました。統合された用水路には、江戸時代から存在した蟇沼用水、旧木ノ俣用水、そして那須疏水開削後に造られた新木ノ俣用水が含まれます。これらの用水路は、1967年（昭和42年）頃から1994年（平成6年）にかけて行われた国営那須野が原開拓建設事業において、近代化整備が施されました。この整備によって、用水路間の相互利用が可能となり、より効率的な水の利用が実現しました。

2006年（平成18年）には、旧取水施設の東水門、西水門、導水路、余水路が国の重要文化財に指定され、その歴史的価値が認められました。また、同年2月3日には疏水百選にも選ばれ、その景観と文化的価値が広く評価されています。

特徴

那須野が原用水は、那須疏水を基盤として、複数の用水路が統合された複合的な水利システムです。那珂川から取水した水は、那須野が原の広大な農地を潤し、地域農業の発展に大きく貢献しています。近代化整備によって、より効率的かつ安定的な水の供給が可能となり、地域の農業生産を支える重要なインフラとなっています。

文化的価値

那須野が原用水は、単なる農業用水路としてだけでなく、地域の歴史と文化を伝える重要な遺産でもあります。国の重要文化財に指定された旧取水施設は、明治時代の土木技術を今に伝える貴重なものです。疏水百選に選ばれたことは、その景観の美しさと歴史的な価値を広く示すものと言えるでしょう。

関連項目

那珂川
蟇沼用水
木ノ俣用水
疏水百選

外部リンク

水土里ネット那須野ヶ原土地改良区連合
栃木県ホームページより とちぎの文化財

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